オーケストラ!


オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]


(2009年、フランス、Le concert、Radu Mihaileanuラデュ・ミヘイルアニュ監督)
たまにフランス語にふれたいと思い、フランス映画、しかもオーケストラがシャトレ座で演奏する、という筋書きに惹かれて観ることに決めたが、そのオーケストラはボリショイで、冒頭からロシア語ばりばり。というわけで想定外ではあったが、映画はよかった。もちろん、チャイコフスキー効果(クライマックスでヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35が使われている)は否めないだろうが、ストーリー展開が飽きなくてよかった。
ボリショイ交響楽団に所属していたかつての有名天才指揮者アンドレイは、今や劇場清掃員として働いている。ひょんなことから、シャトレ座からの出演依頼ファックスを受け取り、偽オーケストラの結成を思いつくのだ。かつての仲間は、音楽家以外で生計を立てているが、これを説得してパリへ旅立つ。こんな寄せ集め集団による演奏会は成功するのか。そしてなぜ、アンドレイはパリを目指したかったのか。
オーケストラを干された団員たちのなれの果てがなんともさみしい。でも、そんな彼らがかつての栄光を思い出し、どんどん輝いていく過程がよい。なかなかリアルなのは、コンバスとパーカッションが最後まで集まらないところ。なかなか現実を反映しているのではないか。あとは、バイオリンパート、それもコンサートマスターにTzigane、つまりジプシーのバイオリニストをあてがうところも好き。ちなみに、ここで演じているのは、Taraf de Haidouksのバイオリニスト、Gheorghe Anghel、通称カリウCaliuだ。

こうやって聴くと、カリウさん本当にすごい実力なんだなぁ。