何が見どころ? トルコ至宝展~チューリップの宮殿 トプカプの美@国立新美術館


今年はトルコ文化年ということもあって、イスタンブールからトルコの芸術品が170点も来日した。これは観るしかないでしょ。

トプカプ宮殿は、スルタン・メフメト2世が1478年に完成させた宮殿だ。東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルを征服した後でもあり、権力を見せつけたかった時でもあろう。宮殿建築の意図は、皇帝門と呼ばれる第一の門に銘文として示されているそう。
印象に残ったものを以下に…。
●とにかくチューリップ柄がたくさん。
チューリップは、オスマン帝国においては、信仰心の象徴だったという。なぜなら、チューリップを表すトルコ語Laleの綴りに使われるアラビア文字の配列を変えるとアッラーの綴りになるからだ。他にも、チューリップの神秘性を示すものとして、綴りを逆さに読むと「ヒラール(新月)」となること、また、チューリップを何等かのやり方で計算すると66となり、この数がアッラーを意味するとか(だがこれはよくわからなかった)。

まあとにかくチューリップは演技がいいため、カーテン、壁のタイル、服(カフタン)、本の表紙、食器などあらゆるアイテムにチューリップの意匠が練りこまれているのだ。そしてそれがどれもかわいい。

なお、後世の歴史家は、1718年~30年の時代を「チューリップ時代」と呼んでいるとか。実際に街中もチューリップであふれていたらしい。

●マフムート2世の玉座とトゥーラ(花押)
なんて書いてあるかわからないが、このトゥーラはとってもゴージャスだ。印鑑よりも再現しにくそうな。
そしてアラビア文字のいくつかの書体が紹介されていたけれど、アラビア文字がわからないと違いもわからない…。

●スレイマン1世の剣
龍とか鳥があしらわれていて、持ち手の部分が豪華。いや、この剣に限らず、剣や調度品の装飾はすごい。エメラルドやルビー、水晶が惜しげもなく使われている。お飾り用とはいえ、なかなか人を殺したり実用には向かないだろうな。
中国からきたいかにも中国っぽい陶器にもルビーやエメラルドがはまっているににはびっくり。

●日本とトルコの交流を示す品々
宮殿に有田焼の大きなツボが飾ってあるようだ。また、明治天皇から当時の王様に勲章も授けられている。そもそも19世紀末に、アブデュル・ハミト2世に謁見した日本人がいることがすごい。しかもそのうち一人は、時事新報社の記者、野田正太郎だ。日本とトルコの間に国交が樹立したのが1924年であることを考えると、その30年も前に駐在して、ちゃんと人脈を築いているんだものね。

●薔薇水入れ
当時は香水のような感じで薔薇水を使っていたらしい。その薔薇水を入れる入れ物がいくつか紹介されていたのだが、かわいくて豪華なのがあった。

調度品にはまっているエメラルドやルビーの粒が大きすぎて、なんだかもありがたみがない感じになっていた。でも、お土産物屋さんで、調度品をモチーフにしたアクセサリーをみたら、やはり色味が全然違う。本物の輝きは違うんだな。
ちなみに、1856年に宮殿はドルマバフチェ宮殿に移ったそうだが、この宮殿の存在は知らなかった。映像でみる限りでは相当豪華な宮殿だ。これもいつか現地で観てみたいものだ。

久々にこの美術館に来たが、スペースが贅沢で素敵だ。先週だったら、満開の桜とともに見られただろうな。