蝶の舌


(ホセ・ルイス・クエルダ監督、1999年、スペイン、A lingua das bolboretas/La lengua de las mariposas)
舞台はガリシア地方、スペイン内線突入前の1930年代。主人公のモンチョが、学校にはじめていくシーンから始まる。そこの担任はグレゴリオ先生。キレ者っぽさはないものの、優しくて、生徒を殴ることも、権力者からワイロを受け取ることもない。モンチョは、学校になじめないかと思いきや、先生の計らいもあってどんどんなじんでいき、先生から色々なことを教わっていく。
そんななか、ファシストが台頭し、共和派はどんどん追い詰められていくであった…。
はじめは、Dead Poes Societyみたいな、感動学園モノかと思っていた。ところが、だんだんキナ臭い情勢が見え隠れし、人々の心が殺伐としていくのが見えてくる…。
ラストシーンは、ちょっとトリッキーなので、当時のスペインの状況や、思想が異なることにより人々が受けるプレッシャーが並大抵でない状況での人間心理というものがわからないと、理解に苦しむかもしれない。
でも私は、やっぱり、モンチョが苦しんだ挙句に叫んだ、グレゴリオ先生への別れの言葉で、二人の心がつながっていること、その屈折した表現がわかって、涙が出た。
マヌエル・リバスの短編集¿Que me queres, amor?の中に、同名の短編があるらしい。こちらを読んでみたくなりました。