ロマ(ジプシー)の文化祭、"Welcome in Tziganie "。2020年版は8月に延期。2021年4月の開催はいかに...

フェスティバル・ウェルカム・イン・ツィガニーFestival Welcome in Tziganie。これは、2008年にL'association L'Air des Balkansという、バルカン半島の文化を広める団体が開催したロマの文化祭のようなもので、日程は毎年4月24日〜26日に開催されていた。開催場所がフランスのオクシタニー地域圏、ジェール県セイサンSeissanという場所で、地理的にはスペインの影響が大きそうなエリアともいえる。

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このフェスは、ロマ文化の豊かさを実感できるイベントであり、関連映画の上演会やロマ文化に関する討論会、ラウンドテーブル、展示会、ワークショップ等、様々な文化に触れることができる。コンサートやダンスのステージはあくまでのこの様々なイベントの一環なのだが、バルカン系含めて豪華なラインナップとなっている。
2020年は、第13回目のフェスが開催されるはずであった。予定されていた出演者で私でもわかるミュージシャンは、マケドニア出身のジプシーブラスバンド、コチャ二・オーケスターKOCANI ORKESTARとかTARAF DE CALIU(どうやら、映画「オーケストラ!」で一躍有名になったタラフ・ドゥ・ハイドゥークスのヴァイオリニスト、カリウ Caliu Angel Gheorgheのバンドらしい)フランスのマヌーシュ・ジャズ・ギタリスト、スティーブ・ラフォンSTEEVE LAFFONTなど。ところがご存知例のコロナの影響で3月末よりConfinement、つまり外出制限がかかったフランスでイベント開催は難しく、中止になったのであった。出演できなかったミュージシャンたちの動画がいくつか公開されている。

ところが、このフェス、なんと昨年8月22日に別のラインナップで開催をしたようなのだ。目的は、翌年のフェス実施・運営のための資金調達、とはっきりしている。
イベント告知動画。

イベントを報じるニュース映像。

元々出演予定ではなかった、近隣エリアであるフランス、トゥールースのギタリストが率いる、ヤニス・コンスタンス・シシリアンカルテットYannis Constans Sicilian Quartetとストーケロ・ローゼンバーグStochelo Rosenberg、そして、パリで結成されたバルカンブラスバンド、ハイドゥティ・オーケスターHaïdouti Orkestarが出演したそうだ。ヤニスとストーケロは2017年、そしてハイドゥティ・オーケスターは2015年に同フェスへの出演実績がある。

今年のライブの様子はヤニスのYouTubeチャンネルに公開されていた。

無事資金調達ができて、今年無事に開催できることを祈っている。日本からいくのは難しいだろうが。

このブログでも何度か取り上げているフェスなので、過去の開催状況はこちらからどうぞ。
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アジアンドキュメンタリーズでみえるボリウッド映画の世界

アジアンドキュメンタリーズにハマっている。映画は好きでよくみるが、やはりドキュメンタリーは自分の知らない世界をみせてくれるからいいな、とつくづく思う。NETFLIXもよく自作ドキュメンタリーをやっているので、よくみてしまうのだが、アジアンドキュメンタリーズに収録されている作品はより興味深いトピックスが多い気がする。ただ、口を酸っぱくしていうが、Filmarksに作品が登録されていないことが多いのが本当に残念。なんでなんだろう、どうにかならぬものか...
というわけで、このブログに映画に関するメモはしなくなったが、アジアンドキュメンタリーズで観賞したなかで、Filmarksに登録がない作品をここにメモしておきたい。

「踊るボリウッド インド映画の向こう側」

2014年/インド/アダム・ダウ、ルチカ・マチャラ 監督

監督が4年間かけて追った、ボリウッド映画にまつわる人々の話。将来を夢見る新人ダンサー、メイクアップアーティスト、オーストラリア人の俳優、それに映画産業労働組合の副委員長など...偶然入った人もいれば、この世界に憧れて映画界に入ってた。たとえば、ダンサーの子はマドゥリ・ディークシットという女優に憧れたらしいし、労働組合のプレムはアミタール・バッチャンに憧れ映画スターになりたかったそうな。作品内にアミタール・バッチャンやらシャールク・カーンの名前や写真がちらほら出てきて、それだけでも嬉しい。一方で、あの華やかなダンサーたちが舞い踊る撮影現場は思ったより狭くて人が密集していている。その他大勢のダンサーの中にも、このドキュメンタリーに出てきたような明日のスターを夢見る子がいるんだ...と思うと、映画の見方が変わりそうだ。


マザーランド 世界一いそがしい産科病院 

Motherland/2017年/フィリピン/ラモーナ・S・ディアス 監督

Dr.ホセ ファベラ記念病院という産院の様子を追ったドキュメンタリー。そもそもこの産院、だだっ広い部屋にこれでもかというくらいベッドが並んでいて、難民キャンプとか野戦病院のようなすさまじさだ。そして未熟児が生まれても保育器がないからと、KMCというほぼ赤ちゃんを抱っこしっぱなしという保育方法を知り、まずは度肝を抜かれる。お母さんは若いのに赤ちゃんを生みすぎて、バースコントロールを学ぶシーンも。男はお金がなく、頼り甲斐もない。そして、なかには「退屈だし他の子供の世話もしたいから」という理由で未熟児保育もそこそこに病院を退院する母親も。考えようによっては暗い話にもなりがちだが、お母さんたちの奔放さや明るさに圧倒される。


さまよう子どもたち ー路上から逃れてもー

A Year of Hope/2017年/フィリピン/ミカラ・クロー 監督

こちらは今度、暗いお話。マニラでストリートチルドレンだった子供たちが暮らす島の児童保護施設をおったドキュメンタリー。親の殺人を目撃、親に捨てられる、シンナー中毒、窃盗、性的虐待...とまあ不幸のオンパレードだった子供たちが普通の暮らしを営むのも簡単ではないよな、ということを実感させられた。
ただ、ひとつだけすごいと思ったのが、ある少年が13才にしてゲイの自覚があり、そのことを周囲が認めているということ。すごくオープンだと思った。日本にもいわゆる児童保護施設はあると思うが、性的マイノリティに対して寛容なのだろうか..。

まだまだ観たいドキュメンタリーがたくさんあるので、ある程度たまったらここに記録しておこうと思う。忘れたくないのだ。

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2020年で20周年。ドイツ、ヒルデスハイムのジャンゴ・ラインハルト・フェスティバルは地味に圧巻

ドイツで最古かつ最大のジプシー/シンティのコミュニティがあることから、「シンティの文化的首都Cultural Capital of the Sinti」などの異名をもつ北ドイツの都市ヒルデスハイムHildesheimで毎年行われているジャンゴ・ラインハルトDjango Reinhardt関連フェス"Hildesheim Guitar Festival Django Reinhardt"。地元の人々のシンティへの偏見を打破することを目的に開催されているこのフェスは、2020年もコロナによる諸々の制限の隙間で行われたようだ。その開催は昨年で20回目を迎えたとのことで、記念すべき年だったんだな。

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開催されたのは7月24日〜25日の二日間だったそうだが、オフィシャルサイトによれば、ヒルデスハイムがあるニーダーザクセン州では、コロナが始まってから開催された初の野外フェスになったという。出演しためぼしいミュージシャンは、地元ヒルデスハイム出身のクッシ・ワイスKussi Weissとドイツはベルリンのギタリスト、レロ・フランツェンLello Franzen、ドイツのシンティ音楽界で有名なヴァイス家出身のルル・ヴァイスLulu Weissとトリノ・ラインハルト Torino Reinhardt(どうやらこの方は、ジャンゴ・ラインハルトの甥っ子の息子らしい)やLulo Reinhardt (この方もジャンゴの縁戚)のグループ、そして、フランスのサンドロ・ロリエSandro Lorierのトリオも出演したりして、なかなか豪華だったようだ。

こちらが一部のライブ映像なのだが..ファンシーで華やかなMCなどはないのだけれども、なんという魅せる演奏なのだ。地味にすごい。

Kussi Weiss Trio feat: Lello Franzen

Lulu Weiss Ensemble feat: Torino Reinhardt

Sandro Lorier Group


残念ながら、具体的に誰のどこに感銘を受けた...と中継できるほど個々のミュージシャンの名前は把握できていないのだが、これからますます家で過ごす時間が増えるなか、こんな演奏も楽しんでいただければと。

なお、2021年、今年の本フェスティバルはすでに7月10日の開催が決定している。日本から行くのは難しいだろうが、無事開催されて映像が公開されますように...

三ヶ日ラーメン、三日目は「西尾中華そば」@凪地獄

昨年、ひょんなことからラーメン産業に携わる方々と会話する機会があり、私の中のラーメンスイッチが入ったものの、在宅癖が抜けずにその方のお店に行けずじまいだった。ところが2021年に入ってから、元旦、二日目とラーメンを食べたら、なんだかやめられなくなってしまい、三日目もラーメンに行くことにした。昨日が風来居系統だったので、今日はそのお向かいの凪にしようかなぁと思いながら何気なくその2階のイベントスペース(といっていいのかな)である凪地獄のイベント案内をみていたら、ちょうど食べ終わったお客さんが降りてきた。
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並ぶ気はさらさらなかったが、席があいていることを告げられたら、行かざるをえないだろう。この日は80食限定で「西尾中華そば」というものを提供するらしい。なんでも昔駒込?かどこかにあったラーメン屋さんらしい。
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凪地獄自体は内部は5〜6名くらいしか入れない空間で、壁画がお洒落で楽しい。なんだかみんながカウンターの内側の方と仲良さそうに会話していて、常連さんあるいは関係者にみえる。そもそもこの三ヶ日そうそうこのお値段出してまでラーメンを食べる人なんてよほどの好きものなんだろう。(いや、私も好きものだな)
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この日のスープは鶏と魚介の混合なのかしら。麺は、トウモロコシのマサ粉を配合した自家製らしい。しかもご自分でうっているようだ。チャーシューは平田牧場の三元豚のものと、比内地鶏のもの、二種類がトッピングされていた。私は鶏のチャーシューのほうが食感、味付けともに好みだったな。上にゆずの皮がトッピングされていることや、ネギも新鮮な感じでいいね。スープの色がちょっと濃いのが懐かしい感じだった。味付け卵の半熟度合いが最高にわたし好みで、スープの味は意外にも優しく、あっという間に飲み干してしまった。新年ならではの麺のサプライズもあって、こういう仕掛けも楽しいなと思った。
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百戦錬磨のラーメン評論家みたいに諸々詳しいお客様たちと店主の会話をききながら、ラーメンに対する計り知れない愛と努力を感じていた。たぶんこの店主の方は大変な凝り性で、一生かけて最高のラーメンを追求していくんだろうと思うし、そうであって欲しいなぁ。帰りにはお土産をいただいたので、じっくり味わおうと思う。

Joscho Stephan Trioの によるニューイヤーコンサートで豊かな「ライブ初め」を。

ヨショ・ステファン(Joscho Stephan)。ドイツはメンヒェングラートバッハ (Mönchengladbach) 出身のギタリストで、いわゆるジプシーの出自ではないのだが、その腕前からマヌーシュ・ジャズの世界でよく知られた存在だ。父親のガンターGünter から指導を受けてギターを始めたのに、のちにその父親をリズムギターに迎えてデビューアルバム"Swinging Strings"をレコーディングした強者でもある。このコロナ禍においても、ネットを用いてギター指導にライブに継続的に活動していたのが、さすがである。

そのヨショが元旦に合わせて、事前録音してあったライブビデオを公開した。ニューイヤーコンサートといえばウィーンフィルだと思っていたが、マヌーシュ・ジャズミュージシャンがニューイヤーコンサートを届けてくれるなんて夢のようだ。メンバーは、リズムギターがスヴェン・ユングベックSven Jungbeck、そしてベースがボルカー・カンプVolker Kampだ。


ゲストは2名。ビブラフォンは、マティアス・ストラッケンMatthias Strucken。ヨショとは、アルバム「Gypsy Vibes」を出している仲だ。いい絡みを見せてくれている。
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そして問題はもう一人。ピアニストの名前がよくわからない。私には「マイケル・シェンカーMichael Schenker」に聞こえるのだが、この名前で検索しても、あのロックギタリストでマイケル・シェンカー・グループのリーダーの情報しか出てこないのだ。だれかお分かりになるかた、ご教示いただければと思う。

曲の片隅にするりと入ってくる有名なフレーズにわくわくすることはもちろん、セットリストに「Wave」のようなブラジルの名曲が入ってきたり、最後の曲がビレリ・ラグレーンの「Made in France」だったりするところも、飽きさせない。本来だったらドイツの方々だけが楽しむライブストリーミングが、日本にいる私にも見られるなんて、コロナも捨てたものではない。もちろん、はやく収束するに越したことはないけれども。

中華そば コヨシ@松濤 にて、煮干しラーメン、生姜を入れて!

映画をみる前にどうしても何か食べたい...本当は、鶏そばのTonariに行こうとしたのだが、お正月休み中であった。まあ当然だろう。他に何かないかな... と思ってうろついていたら、このお店を見つけた。「Produced by 風来居」だと明記している。だったら間違いないだろう。しかも、市ヶ谷に3年ほどの開店実績のあるお店のようだ。時間が半端だったのが幸いして空いていたので、すぐに入ることができた。
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頼んだのは、味玉中華そば(にぼし)900円。その他のラーメンのバリエーションとしては、「赤辛中華そば」「背脂中華そば」「黄金生姜背脂中華そば」というのもあり、黄金生姜にも惹かれたものの、太麺+背脂系をコンプリートする自信がなかったのだ。

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頼んだあとに気がついた。そうか、生姜をトッピングすればいいんだ、と。というわけで、あとで注文。

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生姜はちょっとずつ溶かして入れていたが、だんだん面倒になって全部入れてみた。そこまで刺激的な生姜には感じず、全部入れても美味しかったな。すっきりしたお味で、ものの10分で平らげてしまった。
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ちなみに風来居って卵かけご飯が美味しいから好きなのだが、昨日もラーメン食べているし、炭水化物取りすぎはよくない。というわけで、ぐっと我慢しました。ごちそうさま!
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元旦ラーメン@ねいろ屋(荻窪)

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荻窪はいわば私のホームグラウンドのようなものだ。なので、元旦でもそこで開店しているラーメン屋さんがあれば、無視することができない。元旦は寝坊もしちゃったので、ふと、ねいろ屋さんで朝ごはんをすることを思い立った。元旦は特別メニューということで、「伊吹いりこのしょうゆらーめん」と「涸沼しじみの潮らーめん」の二種類。11時半すぎに見たときは、5人くらいが待っていたくらいだったのに、ちょっと目を離したすきに列がのびていた。結局、並ぶことにしたが、寒かったな。一度並んだらひっこみが付かなくなり、そのまま並び続けてしまったけれども。
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寒くてとてもじゃないけれどかき氷を頼む心持ちにはならなかった。この日見かけた方々は8割方がかき氷を頼んでいてびっくりした。

どうもラーメン屋さんで1時間も滞在する団体様にはイラっとするせっかちな性格なので、基本的には待たされるのは正直に性に合わない。ましてや外は寒いのだ。でも、一度並び始めてしまい、その後ろに多くの人が並んでしまったら、もう引っ込みがつかなくなってしまった。店内ですごく丁寧に「いただきます」をして特別ラーメンを食する女性を目にして、非常に癒された。すごく素敵なことだよな。私が選んだしじみラーメンもしみじみ美味しくて、スープまですべて飲み干した。ごちそうさまでした。

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ちなみに昨年はじまったと思われる「おうちでねいろ屋」シリーズには、正月限定と思われる「あんもち雑煮みそらーめん3食分」というのが準備されていた。人気のお店はちゃんといろいろな工夫もしているんだな、と思った。ラーメン店もコロナのせいでまだまだ厳しい状況は続くと思うが、たまに訪問するのでどうぞ持ち堪えてもらいたいと思う。