川の底からこんにちは


http://kawasoko.com/
(2009年、日本、監督・脚本:石井裕也
愛のむきだし」で満島ひかりの演技に注目して、彼女の作品出演動向をこまめにチェックしていたので、これは絶対に行くと前々から決めていた。「木村水産」の社歌だって覚えるくらい予告編を観ていたくらいだ。が、しじみ手ぬぐいの特典付き前売り券を買う前に、気が付いたら上映開始されていた…というわけでユーロスペースへ。客層は意外と年齢層が高かったのは、シジミ工場従業員への共感か、それともここ数日で朝日・読売・日経などの新聞メディアで立て続けに紹介されたせいか。

内容は、「中の下」を自称する満島演じる主人公佐和子が、ひょんなことから実家のシジミ工場を継ぐことになり、工場立てなおしに奮闘する、といったところか。無気力な佐和子が、ある瞬間から突然はっちゃけてヤケクソっぽくなるのだが、この豹変ぶりを演じる満島が魅力だ。また、シジミ工場の従業員さんたちの個性的な振る舞いにも要注目といったところか。

ただ、この映画、たぶん俳優の笑いの部分をきちんと計算しているのだと思うのだけれども、どうも笑いのツボがたまに私のと違う。あと、映画を雰囲気でみる人間としては、もちょっと日常のなかに非日常っぽい風景とか色味がほしいなぁ、なんて思ってしまうのだ。ちょっと欲張りなことをいったが、予告をみればわかるとおり、おもしろい映画だ。繰り返し観るような映画にはならないと思うが、さくっと楽しむためにはいい。ちょっとホロリと来るところもあるけれども、泣かせようとさせるイヤな感じがないのがまたいい。そうそう、シジミ工場再生のためのマーケティング手法がけっこう王道なのも、ほほえましい。とにかく、一見の価値はあり。