新編 銀河鉄道の夜(宮沢賢治、著)

先日、読書会に参加したのだが、今さらながら銀河鉄道の夜を読み終わった。
◆都内某所で読書会(の予習)
http://d.hatena.ne.jp/asquita/20100605/1275727700

この本に収録されているもののうち、「よだかの星」「セロ弾きのゴーシュ」はまあ記憶あり、「銀河鉄道の夜」はウロオボエという状況だった。いずれもジュニア文庫や教科書で読んだ記憶があったため童話との位置付けでいたが、改めて読んでみると、大人向けの物語ばかりであった。

まずは、勧善懲悪のシーンが多く出てくる。意地悪をしたり、ふるまいが横暴な者にはその報いが必ず訪れている。そして、登場人物が人だろうが、擬人化された動物だろうがモノだろうが、主人公が完璧ではない。すごく心やさしそうだったり苦労していたりする主人公でも、何かの瞬間に一瞬悪い、ある意味人間らしい行動に出たりするのだ。さらに気付くのが、ハイカラ(って表現古いか)でクロスボーダー的であること。「銀河鉄道〜」の主人公名はイタリア名だし、どの物語をみても、舞台は必ずしも日本ではない、どこか別の地を想起させるのだ。なかでも「ビジテリアン大祭」が、ベジタリアンを指し、ベジタリアンの定義や是非を延々論じる内容になっていることに驚いた。その話題、今でも新しいものとして論じられることじゃないか。

今のように情報を簡単に得られなかった時代に、この先進性はすごい。さすがはエスペランティストイーハトーブなんて言葉を編み出す人はどこか違うね。

新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)