まったく新しい楽器? サムシリアン(Samchilian)

NYで活躍中のフルーティスト、YUKARI氏のことを知った。最新アルバム"Dreams"の共演メンバーをみても、大物ばかりですごいなぁと思っていたら、一番下に見慣れない文字発見。
Ben Monder (guitar)
Thomas Morgan (bass)
Greg Hutchinson (drums)
Greg Osby (alto sax)
Leon Gruenbaum (samchilian)
samchillian?
サムシリアンって読むのかな? なんじゃこれ? さっそく調査開始。ところが、wikiにも説明がない…。電子楽器?ということしかわからない。

そんな手探りのなか、いろいろな情報を総合すると、この楽器、正式名称は"the Samchillian tip tip tip cheeepeeeee"という。発明したのは、このアルバムでも演奏しているLeon Gruenbaum氏。NYはブルックイン育ちで、ちょっと前衛的なジャズを好んで聴く、ハーバードで数学の学位保有者だ。

この楽器は、いってみれば彼の音楽と数学の知識を融合した、人間工学配慮型MIDIキーボードで、相対的に音を捉えて弾けるようにしたもの。ベースとして選択した音から、「+1」「-1」と足し算、引き算で音を出していくため、セットして一つのキーを使うだけで華麗なスケールが弾けたりする。従来のキーボードみたいに、左から右=低音から高音というようなこともない。もちろん、+5とか-3といった音作りも可能なら、普通のキーボードプレイ技術では成しえないスケールや速弾き、通常音階にないサウンドの創出もできるため、使いこなせば従来の音楽の概念すらも打ち砕くようなシロモノらしい。

これは、Gruenbaum氏本人のサイト。
本人によるサムシリアンデモの様子はこれ。なんだかドクター中松を彷彿とさせる。

最近は、彼の発明をもとに、さらに進化したタイプを開発している人もいるようだ。

ただこの楽器、頭が良い人じゃないと使いこなせないんじゃないかと思うのだよ。音を数学的に捉える人じゃないとね…。