- 作者: 遠藤周作
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/04/15
- メディア: 文庫
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外国人捕虜の生体解剖実験にかかわったことのある医者や看護士たちのそれぞれの苦悩を描いた作品。昭和20年頃某大学で実際にあった出来事をベースに書いているそうなのだが、この実験に関わったそれぞれの事情や背景、そして、実験に加わったことで生まれた苦しみ(あるいは苦しまなかったことへの疑問)が書かれており、考えさせられる。
導入部分にちょっと嫌な感じで描かれてたK氏は、医者としての出世は得られそうにないタイプだったのに、実は一番まっとうな感覚の持ち主だったのか。一方で、戦時中の希望の持てぬなか、そもそも「まっとう」って何だろう?などと考えさせられた。