トマ・デュトロンThomas Dutroncとビレリ・ラグレーンBiréli Lagrèneの共演というのは、マヌーシュジャズ界の貴公子トマとかつての神童(そして今は神に近いのか)というビレリという位置付けを考えれば珍しいことではないだろう。出会うべきして会った二人というか。
この動画から知ったのは、あのフランスの有名な時事ネタ週刊誌レクスプレスL'Expressが、文化を紹介するようなちょっと軽めのウェブサイトを運営しているということ。そして、このサイトで二人が演奏している曲が、ビレリの楽曲のようにスタンダード化しつつあるものではなく、トマ・デュトロンの"J'suis pas d'ici"である、ということだ。トマのファーストアルバム"Comme un manouche sans guitare"に入っていた曲で、ポップスのような印象もある曲だったので、二人の共演の曲にこの曲が選ばれて、トマがボーカル(これは彼の曲なのだから当たり前か)、ビレリがリズムギターを担っている、ということを、少し新鮮に感じたのであった。
この動画が撮影された当時の背景を垣間見えるインタビュー記事を見付けた。このコンサートがそもそも、ジャンゴ・ラインハルト生誕100周年だった2010年1月19日に、L'expressが主催したものだったらしい。
Biréli Lagrène et Thomas Dutronc, les frères manouches
Biréli Lagrène et Thomas Dutronc, les frères manouches - L'Express
一見対照的にみえる二人、キャリアからして明らかに上下関係のありそうな二人が通じ合っている理由がわかるような気がする、そんなインタビュー内容だ。どうやらこのライブの前に、実はビレリが自分のギターを忘れてきたらしい…なんてエピソードも判明。ま、きっとそういうこともあるのだろう。