2015年、河瀬直美監督、日本
主人公は、どらやき職人千太郎。とくに人気もないこのどら焼き屋にある日老女が訪ねてきた。徳江という名前の女性だ。「アルバイトとして雇ってほしい」という彼女の頼みを一度は断った千太郎だが、彼女の作るあんこのあまりの美味しさに、彼女とともに働き始める。お店もあんこが美味しくなったことに伴い大繁盛。ところが、彼女にはハンセン氏病という過去があったことを偶然知ったどら焼き屋のオーナーが、千太郎に告げるのだ。「今すぐ彼女を辞めさせなさい」と。さて千太郎はどうするか…。
樹木希林の演技力で表現される徳江のチャーミングなこと! あまりにもつらすぎる人生を超えた人の、優しさとすがすがしさが見事に表現されており、それだけで涙が出てきた。そして季節の移り変わりの美しい映像とともに、千太郎の過去と孤独、どうしようもない母親と暮らすワカナの孤独が引き立っていく…。もう少しきちんと描いてほしい気もしたが、原作がドリアン助川のものと知ったので、今度原作も読んでみよう。
河瀬直美の作品は「萌の朱雀」以来久々に観たが、出演者がどんどん豪華になっているなぁ。その中でも風景の撮影の仕方だとか、女子高生の自然な演技の撮り方は「らしいなぁ」と思った。
主題歌もすっかり豪華になっているが、秦基博のこの曲も映画鑑賞後に心に響きます。