TOKU@表参道Body & Soul。

2019年4月22日。5年ぶりくらいにTOKUさんのライブに赴いた。
まず驚いたのは、ものすごい混雑っぷりだったこと。50人くらいいたのでは? こんなに満員はめったにないので、驚いた。TOKUさんって相変わらず人気なんだな。次に驚いたのが、ライブで演奏された曲がほぼオリジナル曲だったこと、そしてそれが本当にかっこよかったこと。お客さんを巻き込むキャッチーな曲ばかりだったこと。

たとえばこの"A Whole New Life"という曲。会場のみんなでTOKUさんとともにコーラスしながら、一緒に盛り上がれる。美しいメロディは意外にシンプルでもあるので、はじめてこの曲を聴いたお客さんもすぐにコーラスに参加できる。オリジナル曲だけれども親しみやすいので、まったく飽きずに楽しむことができた。

最後に。会場内にミュージシャンが何名か遊びに来ていて途中参加する…ことは交友関係の広いTOKUさんのライブじゃ当たり前のことなのだが、そのゲストミュージシャンが、なぜか皆、今年になってオーストラリアから日本に移住を決めたトロンボーン奏者とボーカリストだったこと…。ちなみに、この日バンドのベーシストを務めたマーティ・ホルベック( Marty Holoubek)氏も、オーストラリアから日本に移住してきて、日本で活躍しているらしい。日本はミュージシャンにとって、いや、オーストラリアのミュージシャンにとって、暮らしやすい国なのだろうか。不思議なムーブメント。

この日のライブはメンバーもよかった。まずはドラムの加納樹麻氏。以前、Max Ionataのサポートをしたときにたまたま観たのだが、相変わらず魅力的なドラミングをする方だった。TOKUさんと知り合いとはいえ、最近いつも一緒に共演しているわけではなさそうだったが、プロの仕事をしていた。カッコよかった。
asquita.hatenablog.jp

そして、ピアノの宮本貴奈氏。私は初めて知ったが、演奏家としてだけでなく、プロデューサーとしても多岐にわたってご活躍らしい。TOKUさんとは小沼ようすけ氏を介して知り合ったとか。すごくメロディアスで勢いがある素敵な演奏をする方だった。和楽器奏者とも共演したりするような人らしい。彼女の活動もぜひフォローしていきたいと思った。

というわけで、たっぷり楽しんだライブだったが、とくに気に入ったスルメソングを購入してみた。TOKUさんがデビュー当時にお父様に敬意を表してつくった曲、"SHOSUKE'S PLACE"。すごくジャズらしくてカッコイイ曲だった。ライブから帰ってきた日の晩からずっと気に入ってよく聴いている。アルバムに収録されたこの曲はもうすこし澄ました顔をしているが、この日のライブで聴いたこの曲のアレンジ、そして迫力には圧倒された。TOKUさんの作曲家としての才能を再認識した、いや初認識したライブだった。

Russell Malone Quartet@Cotton Club Tokyo。スルメソングに出会う。


久々のコットンクラブで、ラッセル・マローンのカルテットを観に行った。Russell Maloneのことを好きになったきっかけは、彼の20年前のアルバムである「Sweet Georgia Peach」からだ。もっとも、実際にこのアルバムに出会ったのは、アルバムがリリースされてから10年以上経過した2008年のことだったらしい。
musicircus 2008年に聴いた 10枚/長井明日香

このアルバムに入っている「Mugshot」という曲に私は恐ろしくはまってしまい、しばらくアルバムが手放せなくなったのだった。

あれから10年以上が過ぎ、とくにリリースされるアルバムもフォローすることなくふと思い立って赴いた今回のライブ。Russell Malone (g)、James Austin, Jr (p)、Luke Sellick (b)、Neal Smith (ds)というメンバーだった。
ラッセル・マローンがよく見えるかぶりつきの席を確保したが、ギターの音色と選曲にかなり魅了されてしまった。

「Honeybone」(Tripleplay 2010)でぐっと心をつかまれた。一瞬、出だしのメロディでBirei Lagreneの"Place du Terre"かと思ったところも、心をつかまれた原因かも。もっとも、同じ音ははじめの3音くらいだが。で、「For the love of you」(Live at Jazz Standard, vol. 2 2007)で、「こんなにスウィングしたいいアレンジもあるのか」と感激。(ちなみに、この曲を私が知ったのは、Whitney Houstonのアルバムだが、実はThe Isley Brothersが元祖だということも、今知った)。

で、最後、「Amsterdam After Dark」(Love Looks Good on You 2015)で、もうたまらなくいとおしくなり、改めてRussell Maloneが自分好みのミュージシャンであることを確信した。この曲は、原曲はサクソフォニストのジョージ・コールマンGeorge Colemanの作品なのだが、ラッセルの腕にかかると、何かの魔法がかかって軽やかで流れるようなポップソングに早変わり。少しのアレンジで曲に色気が増して新たな魅力が生まれることを実感する。早速このアルバムをダウンロードし、スルメをかじるがごとく日々聴きまくる今日この頃だ。

ライブの冒頭、自己紹介で自分のことを「I'm Katsumi Watanabe!」とか紹介しちゃうお茶目さもまた魅力だった。演奏の中で遊ぶことが多いジャズミュージシャンだからこそ、ユーモアに富んだ人であってほしい。そんなわけで、すっかりRussellにハマったライブとなった。なお、同じトリオにいたピアニストのJames Austin Jr. も華やかな演奏で遊び心もあってよかったな。

切り昆布の煮物。そろそろ自分の味になってきた!

近所のスーパーに、200グラム200円くらいで切り昆布を売っていると、すぐにこれが作りたくなる。

1)切り昆布は、食べやすい長さにざく切り

2)ニンジン1本を細切りにし、油揚げは短冊切り、えのきだけも他の2つのサイズに合わせて刻む

3)ごま油を熱した鍋で、1)と2)を炒める

4)油が回ったら、醤油3、酒3、みりん1、だしの素1/2、水180mlを入れて、水分がなくなるまで煮込む

これだけで、鍋いっぱいにおいしい常備菜ができる、というわけだ。

蔵葡@築地・東銀座エリアで、日本ワインを楽しむ


最近、日本ワインに凝っているので、飲みに行く時私にお店の選択肢があると、どうしても日本ワインのお店を選んでしまう今日この頃。というわけで、築地警察のすぐ近くにあるこのお店に来た。「蔵葡」というお店だ。


蜂の子、という昔からある洋食屋さんのすぐ隣にある。

お店は細長い作りになっており、少人数で行くとカウンターに通される。超安い、という感じではないけれど、クオリティが高くてどれも美味しい。お酒好きにうれしいおかずのラインナップが充実している。

ちょうど、日本ワインのフェスティバルのようなものをやっていて、さらに珍しいものをグラスで飲む機会を得た。ラッキー。


丸の内線銀座駅からは歩いて15分くらいかな。ちょっと距離を感じるが銀座の美しい街並みを眺めて歩けば、あっという間に銀座に到着する。また来てみたいお店だ。

「海角七号 君想う、国境の南」。二度観ても同じ感想を持つ自分にびっくり。


2008年、台湾、サミュエル・ウェイ監督、海角七號/Cape No.7

阿嘉(アガ)は、ミュージシャンとなる夢をあきらめ、屏東県の恒春というところに戻り、郵便配達員をしている。ある日海角七号という、もう存在しない古い宛先の住所が見つからない日本語の手紙を見つけ、開封をして読んでしまう。するとそこには、戦後駆け落ちを約束していたのにそれを果たせなかった、台湾の青年と日本人の女性、トモコのストーリーがつづられていた。
この、戦後にトモコに送られた恋文と、現代の恒春でひょんなことからビーチコンサートのステージマネージャをすることになる売れないモデルのトモコのストーリーが重なりあう。
墾丁国家公園内リゾートホテルで企画されていた、日本人歌手のコンサートだったが、「バンドメンバーは地元から選出されなければいけない」という議長のツルの一声で、急遽バンドが結成されることに。メンバーはアガのようにちょっとミュージシャンをかじっただけの人だけでないため、足並みがなかなかそろわない。コーディネーターを務めるトモコのイライラは最高潮になり、バンドのムードは最悪だ。さて、コンサートはうまくいくのか。

こちらが日本人だから、どうしても出演している日本人たちの演技や言葉遣い、性格が気になってしょうがない。トモコの、恋する前のとげとげしい感じと恋してからの穏やかさ、あるいは、台湾の地元の方々に対するちょっと失礼な態度と、日本人クライアントに対するよそゆきの態度がどうしてもカンに触ってしまった。そして、なまじ台湾の俳優たちがいずれもいい味を出しているため、ますますなんだか違和感が募ってしまうのだ。とくによかったのは、年老いた郵便配達員のボーさん、かなぁ。日本統治時代の代表的な唱歌が「野ばら」だったそうだが、この映画では、素敵なアレンジの「野ばら」が聴ける。こんなにいい曲だっけ。

6年ほど前に同じ映画を観た感想がブログにあったが、(ストーリーはまったく覚えていなかったのに)、似たような感想がつづられていて驚いた。よほど日本人のことが気になるらしい。
asquita.hatenablog.jp

あの時鑑賞してから、高雄~墾丁まで、ドライブ旅をしたのだけれども、映画のロケ地巡りをする、という発想はなかったな。台中にも、この映画の撮影で使われた建物を訪ねたことを思い出したが、そこまでインパクトを感じなかった…。
asquita.hatenablog.jp

インファナル・アフェア


2002年、香港、アンドリュー・ラウアラン・マック監督、Infernal Affairs/無間道

トニー・レオンが演じるヤンは潜入捜査官。サム率いるギャングのメンバーとして活動しながら、警察の上司、ウォン警視に情報提供している。しかし、ギャング内部で疑われ、夢の中で「警察だ!」と叫ぶ日々。ヤンが潜入捜査官だと知っているのは、ウォン警視しかいない。10年近くも同じ状況に置かれ、メンタルに異常を来しかけている。
ある麻薬取引についても、ヤンはサムの近くにいて情報提供をしている。ところが、ひょんなことから、警察内部にもスパイがいることが発覚した。さあどうなる!

ボスの立場にしてみれば、もうみんながみんな怪しい。だれが潜入者かわからないのだから。事件は予想外の結末を迎え、「お、これは…」と思ったところで、さらなるどんでん返しが待っている。これぞ無間道。結末に流れる歌まで映画のスト―リーにマッチしている。
久々に観たけれど、やっぱり最後の最後までドキドキさせられる映画だった。

俳優ががアンディ・ラウマッスルモンク)、アンソニー・ウォン(冷たい雨に撃て、約束の銃弾を、エグザイル)、ラム・カートン(MAD探偵 7人の容疑者、スリ、エレクション…といろいろ)だったりするので、勝手にジョニー・トー作品だと思っていたが、違ったのね。

ハリウッドがリメイクする理由もわかる。素晴らしい映画。

何が見どころ? トルコ至宝展~チューリップの宮殿 トプカプの美@国立新美術館


今年はトルコ文化年ということもあって、イスタンブールからトルコの芸術品が170点も来日した。これは観るしかないでしょ。

トプカプ宮殿は、スルタン・メフメト2世が1478年に完成させた宮殿だ。東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルを征服した後でもあり、権力を見せつけたかった時でもあろう。宮殿建築の意図は、皇帝門と呼ばれる第一の門に銘文として示されているそう。
印象に残ったものを以下に…。
●とにかくチューリップ柄がたくさん。
チューリップは、オスマン帝国においては、信仰心の象徴だったという。なぜなら、チューリップを表すトルコ語Laleの綴りに使われるアラビア文字の配列を変えるとアッラーの綴りになるからだ。他にも、チューリップの神秘性を示すものとして、綴りを逆さに読むと「ヒラール(新月)」となること、また、チューリップを何等かのやり方で計算すると66となり、この数がアッラーを意味するとか(だがこれはよくわからなかった)。

まあとにかくチューリップは演技がいいため、カーテン、壁のタイル、服(カフタン)、本の表紙、食器などあらゆるアイテムにチューリップの意匠が練りこまれているのだ。そしてそれがどれもかわいい。

なお、後世の歴史家は、1718年~30年の時代を「チューリップ時代」と呼んでいるとか。実際に街中もチューリップであふれていたらしい。

●マフムート2世の玉座とトゥーラ(花押)
なんて書いてあるかわからないが、このトゥーラはとってもゴージャスだ。印鑑よりも再現しにくそうな。
そしてアラビア文字のいくつかの書体が紹介されていたけれど、アラビア文字がわからないと違いもわからない…。

●スレイマン1世の剣
龍とか鳥があしらわれていて、持ち手の部分が豪華。いや、この剣に限らず、剣や調度品の装飾はすごい。エメラルドやルビー、水晶が惜しげもなく使われている。お飾り用とはいえ、なかなか人を殺したり実用には向かないだろうな。
中国からきたいかにも中国っぽい陶器にもルビーやエメラルドがはまっているににはびっくり。

●日本とトルコの交流を示す品々
宮殿に有田焼の大きなツボが飾ってあるようだ。また、明治天皇から当時の王様に勲章も授けられている。そもそも19世紀末に、アブデュル・ハミト2世に謁見した日本人がいることがすごい。しかもそのうち一人は、時事新報社の記者、野田正太郎だ。日本とトルコの間に国交が樹立したのが1924年であることを考えると、その30年も前に駐在して、ちゃんと人脈を築いているんだものね。

●薔薇水入れ
当時は香水のような感じで薔薇水を使っていたらしい。その薔薇水を入れる入れ物がいくつか紹介されていたのだが、かわいくて豪華なのがあった。

調度品にはまっているエメラルドやルビーの粒が大きすぎて、なんだかもありがたみがない感じになっていた。でも、お土産物屋さんで、調度品をモチーフにしたアクセサリーをみたら、やはり色味が全然違う。本物の輝きは違うんだな。
ちなみに、1856年に宮殿はドルマバフチェ宮殿に移ったそうだが、この宮殿の存在は知らなかった。映像でみる限りでは相当豪華な宮殿だ。これもいつか現地で観てみたいものだ。

久々にこの美術館に来たが、スペースが贅沢で素敵だ。先週だったら、満開の桜とともに見られただろうな。