令和元年 宵宮の舞@八王子まつりで芸妓文化にふれる

八王子まつりは、毎年8月上旬の土日に開催されるお祭りだ。とくに土日は、甲州街道沿いで色々なお祭りが見られたり、各地区の山車や神輿が見られるという。本当は一度じっくりみてみたいのだが、なかなか日程が合わない。そんななか、久々に八王子祭りを垣間見ることができた。
JR八王子駅から、「西放射線ユーロ―ド」という道を進んだところでやっているのが、八王子芸妓による宵宮の舞。このエリア、中町にある黒塀通りには、明治時代に全国から集まってきた織物職人を愉しませた花街が今でも残っている。そこで働く芸妓さんの芸をストリートで気軽に愉しめる貴重な機会が、この宵宮の舞なのだ。

ギリギリの時間に会場入りしたので、踊りがみえるポジションは確保できなかったが、鳴り物はばっちりみえる場所を確保できた。唄をうたっていらっしゃる芸妓さんの声の艶っぽいこと。オープニングでは能管を吹いていらっしゃる方がいたが、笛を吹く姿に品がある。そして、(ちょっとしかみえなかったが)踊りもあでやかで惚れ惚れした。「かっぽれ」の動作も、素人がやるのとでは全然違う!

いつかは週末の八王子まつりに来てみたいものだ。

Hansche Weissトリビュートライブ@スイス・チューリッヒのジャズクラブMoods in Schiffbau

2016年6月に闘病生活を経てなくなったハンス・ワイスHäns'che Weiss のことは、以前こちらのブログでも紹介したことがあった。
asquita.hatenablog.jp

先日見つけた動画は、 Biréli Lagrène ビレリ・ラグレーンのものであった。最近ビッグバンドとしての活躍が多く、「何かマヌーシュ・ジャズ系の演奏はしていないかな」と探して出てきたものがこちらだ。


動画のタイトルだけみて、一瞬ハンス・ワイスが生きていた時代の共演動画かと思ったが、実際は、2017 年の10月にスイスのチューリッヒにあるジャズクラブMoods in Schiffbauで行われた、いわばトリビュートライブの動画であった。ライブの進行役は、チューリッヒ出身で、ハンスと長年共演してきたベーシスト、ワリー・メイヤーVali Mayerだ。そして、リズムギターを務めるジロリ・ウィンテルステインZilori Wintersteinも、かつて弟 Holzmanno Winterstein とともにHäns'che Weiss Quintet の初期メンバーとして活躍するなど、ハンスとは縁が深い。
そんな二人が、マヌーシュ・ジャズ界の巨匠、ビレリとともに奏でるマヌーシュ・ジャズは息もぴったりで、とっても素敵だ。ワリーの歌にちょっとにんまりしてしまう。これは貴重な動画を見つけたなぁ…。

「浅草東洋館」で漫才初体験! 「キラーコンテンツ」がお気に入り

7月某日、ご縁があって浅草の東洋間というところで漫才を観ることになった。正式名称は「浅草フランス座演芸場東洋館」で、2000年くらいまではストリップ劇場としても興行をしていたという。また、ビートたけしさんがかつてエレベーター係をやっていたことでも有名らしい。

正直、飽きて寝ちゃうんじゃないかと思ったのだが…これがなかなか面白い。2,500円くらいで半日楽しめて、30近い芸が一気にみられるのだ。金谷ヒデユキや山口君と武田君は、上手さ、話の展開等本当に上手で引き付けられた。もちろん、そんなに上手じゃない人も、ベテランもまじっているのだが、トータルで面白い。また、ベテランの物まねを若手芸人がやったら、その5演目あとに、物まねされた当のベテラン芸人が出てきて、(その人はたいして面白くないのに)会場は大うけだったりして…。そういう、即興演芸の妙みたいなものもたくさん体験できた。相方が入院中だという昭和こいるさんとかも、もう身に染みた本物の芸人という感じで、しかも品があって、よかったなぁ。

個人的によかったのは、キラーコンテンツ。こういう感じで歴史を使うのだが、彼らの芸を観た後には、みんなで「徳川家康!」ってしつこく言ってしまった。

演者の一人曰く、「お客さんが数人しかいない日もある」なんて言っていたけれど、この日は立ち見も出る満席。今、吉本興業の闇営業問題でニュースは騒がしいけれども、こういう劇場で日々芸を披露し、お客さんの反応によって自分を振り返り、さらに芸を磨いて実力をつけている人だってたくさんいる。日本の文化の一つとして漫才劇場を捉えなければいけないな、と思ったのだった。

憧れのねいろやで、かき氷@神保町

ねいろやに行きたくて行きたくて仕方なかった。

いよいよ、憧れの体験を。

 

女峰イチゴミルク、950円くらいだっけ。

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やさしくて、でも味はしっかりまんべんなく。どこを食べても薄すぎず、濃すぎず、最高でした。

 

思わず残った液体を全て飲み干した私を許して欲しい。行儀悪かろうが、衝動を抑えられなかったのだ…。

 

元々は荻窪のお店。いつか、瀬戸内レモンラーメンにパクチーのせて食べるぞ!

フランスのミュージカル映画は面白くてかっこいい。「ジュリーと恋と靴工場」


Sur quel pied danser, 仏、2016年、Paul Calori/Kostia Testut監督)

主人公のジュリーは、家賃も払えないまま、なかなか正社員の職に就けないままでいた。安い靴屋で働いていたが、この日も解雇されたばかり。(ちなみに、安い靴のことはla godasseと呼ばれていた、なるほど。)そんな彼女が次に見つけた仕事は、フランスのRomans-sur-Isèreという、「高級靴生産の中心地 la « capitale mondiale de la chaussure de luxe »」といわれる場所での、高級靴の梱包の仕事だった。早朝からのハードワーク、上司は厳しそうな女性…決して条件はよさそうではないが、背に腹は代えられない。そんな職場に、リストラの噂が舞い込んだ。なんでも、「会社の近代化をする」というのだ。中国だって安い値段で似たような靴が作れるぞ、と。さて、どうする? 靴職人の女性たちは、プライドをかけて立ち上がった。

ミュージカル要素ありのコメディ映画なので、唐突に歌いだしたりするので少し冗長だったり、笑えたりする。途中、イケメン社長にわざわざ抗議に行ったのに、ボサノヴァであっさり説得されて、自己紹介しちゃったりして、思わず笑ってしまった。それでも、「戦う女」が立ち上がる姿はカッコイイ。そもそも、あんなデザインのあんなクツが似合って履きこなせる人はそんなにいないだろう。色々な宣伝文句で書かれているような、「ミシェル・ルグラン級のミュージカル」とは思わないけれども(すみません)、Olivia RuizやAgnes Bihlのような、シャンソン・ヴァリエテの歌手がサウンドトラックの歌詞づくりに参加しているところも、なかなかいい。だから、ますますかっこよく聴こえるのだろうか。

魚百@神保町でニクの日ランチ

ここの名物料理である「魚河岸海鮮丼」というのがある。海鮮丼と、食後に鯛茶漬けがついて1,000円しないようなお値段だ。それが、ニクの日に行くとさらにお得。

具が豪華過ぎて、ご飯よりも具が多いような錯覚に陥る。しかもこのシメの鯛茶漬けは絶品で、ものの15分で食べ切ってしまった。大満足!

本日のような日差しのきつい日に列を作るのはちょっとツラいが、後悔しないおいしさであることには間違いない。

ここはまた行きたいな。夜も行きたい。

マヌーシュ・ジャズの軌跡を学術的にたどるイベント。"Introduction au jazz manouche, autour de Django Reinhardt"

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フランス、パリのシャンゼリゼ通りの先のいわゆるラウンドアバウト(環状交差点)のところにある劇場、その名も「ロン・ポワン劇場(Theatre du Rond Point)。ここで今年面白いイベントがあったようだ。"Nos disques sont rayés"(傷つけられた私たちのディスク(レコード)-直訳)というフェスティバルで、第三回目のシーズンでは、都会の辺境、というようなことをテーマにさまざまなイベントが開催されたらしい。
www.theatredurondpoint.fr


辺境、移民、郊外…とくれば、「マヌーシュ」だって辺境の問題のひとつだろう。というわけで、このイベントでは、ジャンゴ・ラインハルトの孫、ダヴィド・ラインハルト(David Reinhardt)と、彼の15年来の友人でもあり、マヌーシュの血を引く有名ギタリスト、マチュー・シャトレン (Mathieu Chatelain)が、マヌーシュの起源や歴史、なぜフランスにわたってきて、ジャンゴはどのように音楽に寄り添い、マヌーシュ・ジャズというスタイルを紡ぎだしたかを語る、という大変素敵なイベントだった模様だ。

イベントは2019年2月9日に行われたらしく、イベントの動画を発見した。

マヌーシュ(ジタン、ロマ)で使われる単語の話や、グラッペリとジャンゴの出会いの話、第二次世界大戦の際に強制収容所に送られた話、ヨーロッパのジタンたちの文化や言葉がどのようにはく奪されていったか、ビバップとマヌーシュ・ジャズの関係まで、いいことから悪いことまで、幅広く語られるので、非常に勉強になる。そして、その音楽の発展は、凄腕ギタリストたちの生演奏とともに語られるのだ。戦後となる1959年、ビバップ時代にMiles Davisの名曲"So What"が一世を風靡したが、これは、いわゆるジャズ・モダールと呼ばれる、いわゆるコード進行よりもモード (旋法)を用いて演奏されるジャズ。それより20年以上前に、ジャンゴ・ラインハルトは”Appel Indirect"で同じ手法で曲を作っているというのだ。
おお、確かに!

フランスでは何かと差別されがちなマヌーシュの素晴らしい音楽文化がより多くの人に広がるといいなぁ。