- 作者: 真山仁
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2008/03/07
- メディア: 文庫
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「ハゲタカ」で名を馳せた、真山仁氏の小説。「ハゲタカ」でも出てきた外資系投資ファンドが重要な役割を果たす話ではあるものの、それよりも電力業界とそれを取り巻く環境の描写が細かい。出てくる社名や研究所名などから、リアルに存在する団体の名前が容易に思い浮かぶ。電力業界を半端に知っている人ほど、この小説に描かれている情報や、業界を取り巻く環境、物事を決定するプロセスについて生々しく思うだろう。
とくに、この本からは、日本の原子力行政の在り方に対する意見が読み取れるのだが、参考文献に、原子力情報資料室の設立者だった故・高木仁三郎氏の著作が並んでいるのをみると、小説の内容に合点がいく。
実際は、小説よりもはるかに複雑ではあるだろうが、その複雑さを読者が愉しみながらついてくる程度にまとめて、わかりやすく提示するその手腕は素晴らしい。