日本の音〜世界の中の日本音楽

日本の音―世界のなかの日本音楽 (平凡社ライブラリー)

日本の音―世界のなかの日本音楽 (平凡社ライブラリー)


阿波踊りの連にて篠笛を初めて2年になる。もともと、海外と接点を持てば持つほど日本の伝統音楽への興味が増したものの、どうしていいのやらわからない。何せ、義務教育では宮城道雄の「春の海」を鑑賞したことしか覚えてないくらいの知識量なのだから。そこで漠然とやりたいことを模索いたところ、友人の誘いで阿波踊りワールドに踏み入れたのだった。いざ和楽器を始めると改めて色々知りたくなって…というわけで、本書の作家のことも知らずに手に取った次第だ。

作者の小泉文夫さんは、民族音楽学者として名を馳せた方で、民族音楽の地位向上に尽力した方だそうだ。民族文化に加担している人は、往々にして自分の学んだ文化を愛するあまりに少し立ち位置が偏る印象があるのだが、この方の場合、その目線はバランスがとれていて、非常に好感が持てる。日本の音楽が西洋のものと比べて何ら特殊性がなく普遍的であることをきちんと証明した上で、日本音楽を自然な形で教育に取り入れていくことの必要性を述べていた。

また、日本の楽器も解説しているが、世界の楽器のなかにおける位置付けも含めて説明されているため、理解が進む。私が興味を持っている祭りのお囃子についても、その種類を大きく分類して論じており、大変理解しやすかった。

最終章の楽典に関するパートは、私の知力では理解しづらかったものの、それ以外の部分はわかりやすくて興味深くて、日本の音を聴く入門書として最適だと思う。日本の音楽について、義務教育のなかで、このような形で日本の伝統音楽について学べたら、もっともっと興味が持てたのではないだろうか。

この方について記したwebサイトに、小泉氏の人となりやお考えがわかりやすくまとまっていたから、これをじっくり読んで理解を深めてみたいと思う。
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0601.html