アイヌ民族の歴史と文化〜教育指導の手引き

アイヌ民族の歴史と文化―教育指導の手引

アイヌ民族の歴史と文化―教育指導の手引


山川出版社発で、しかも教育指導書ということで、アイヌ文化理解の近道であろうと手にとった本。
今でこそアイヌの文化は認められ、教育現場にも登場するようになったが、それまでの弾圧の歴史が説明されている。今回私が理解した新たな事実は「シャクシャインの戦い」というのが、単なる和人(松前藩)vsアイヌの戦いではなく、もともとはアイヌの二民族集団間の戦いに端を発しているということ。狩猟・
漁撈・採集を主とした暮らしだったのが、和人によって漁場や猟場を独占されてしまったこと。そのような状況のなかあてがわれた農地も不公平で、かつ東北地方から移ってきた農業のプロすらも放棄したような農耕に適さないような農地の開拓を強いられたりと、苦労をしてきた。
アイヌ舞踊は国の重要無形文化財に指定され、アイヌ語ユネスコによって最も危険な状態にある言語と分類され、アイヌの楽器を操るミュージシャンが指示されるなど、アイヌの文化が全般的に認められるようになったのは、先人たちの静かなる戦いの成果といえよう。
最後に、メモしておこう。アイヌの口承文芸である「ウエペケレ」というのがあるが、これには、よい精神を持ち、よい行いをしたものは、それによってもたらされた自らの幸せな人生を語り、そのような生き方をしろと諭す、そういう終わり方をするそうな。なんだか、いいなぁ。
アイヌの音楽といえば、Oki Dub Ainuか、安東ウメ子さんということで、ちょっとアイヌ文化に近づいた気分になりながら、読書読書。