1990年、81分、ブルキナファソ/スイス/フランス、監督/脚本・イドリッサ・ウエドラオゴ(Idrissa Ouedraogo)
JICAの地球広場で行われたブルキナファソ関連イベントと映画上映会に行ってきた。私にとっては全く未知の国であり、仏語圏だということすら知らなかった。ブルキナファソは、「誠実で高潔な人々の国」という意味を持った国名であり、植民地政策に翻弄された結果、革命によって独立を獲得。今は60以上の民族が住んでおり、3つの言語集団があるそうな。
駐日ブルキナファソ大使からのご挨拶のあと、シネマアフリカ代表吉田未穂さんより、ブルキナファソと映画の深いかかわりの話があった。何でも、2年に1度、首都ワガドゥグで開催されるアフリカ最大の映画祭「ワガドゥグ全アフリカ映画祭(FESPACO)」が開催されるというのだ。403 Forbidden
1969年からはじまったという歴史ある映画祭なのだね。
鑑賞した「掟」は、このFESPACOで1991年にグランプリ受賞、1990年にカンヌ国際映画祭審査員特別賞をとった作品だ。ある村の小さなコミュニティが舞台。放浪の旅を終えて戻ってきた青年サバは、自分の恋人ノグマが父親の第二夫人になっていることに愕然とする。しかし、意思に反した結婚だったノグマは妹の手引きでサバと逢瀬を重ねる。それが見付かったとき、若い二人に下される制裁と、威厳を守るために巻き込まれる家族、そして、愛を貫こうとする二人の結末を描いたものだ。
最後、ブルキナファソの駐日大使が、「親子、兄弟、姉妹、叔母とおいetcさまざまな人間の間に生まれる愛と威厳を描いた映画だ」といっていたが、私なんぞには、もう掟が破られる前提となる事件「父親が息子の許嫁を奪う」という行為や、子供の教育に一切責任を取らないようにみえる態度、だれかが自殺をしようとするのを止めようとしないところなどがすでに刺激的であり、どこまでその本質をわかることができただろうか。ただ、この国では、父親は逆らうことができない存在であり、共同体の助け合いやルールが(その内容が日本の価値観で理解できるかどうかはさておき)、いかに大切かということはよくわかった。作品の一部が英語字幕付きでYouTubeで観られる。すごく静かな、そして大地の広さを感じられる映画。主人公の母の唄声が印象的だ。