お誘いいただき、新宿明治安田生命ホールの本公演を観に行った。
コントグループ「ザ・ニュースペーパー」の結成に参加するも、方向性の違いから脱退し独立。テレビなど公共の電波に出せないほど過激だというので、鳥肌実さんのようなとがった雰囲気の方を想像して、鑑賞した。
客層はだいぶ高い年齢層、それこそ団塊の世代くらいか。
舞台上にすでに面白い演出が施してあるのだが、松元氏の舞台を初めてみる人のために、敢えていうまい。
試行錯誤の結果のパントマイムという芸風の選択があったそうだが、しなやかな身体の動きを活かした表現能力が素晴らしい。トークでは自分の身の上話と、時事ネタを織り交ぜたギャグがさく裂した。ご本人と交流のあったらしい立川談志さんの話もふんだんに盛り込まれていたなぁ。今回のキーワードは、きっと「基準」。そして、思想の違いなんか大して重要ではなく、そのことに対して真剣に向き合っているか、嘘がないか、というところに真実がある、ということ。
思想があっているか否かはともかく、私は彼の基準というかバランス感覚がいいなぁと思った。そのけなしと対局に持っていくる笑いのバランス。そして、彼が封印したというある国のネタ…。持ちネタとして続けてきたそのネタををある日やったら、その国出身の友達にあっけらかんと爽やかに「笑えなかった。自分の文化がけなされているようで」と言われたことで、国の歴史や立ち位置を考慮してけなしていい国といけない国がある、ということに気が付いたという。
笑いやらユーモアってすごく難しいのだけれども、この人はそれに本気で立ち向かいながら彼の感じる日本の問題を提起しているのだね。その熱弁と思いと、もっと毒舌で過激だと思っていたのに思いがけぬ温かさのようなものに触れて、なぜか号泣(笑)自分でも意味不明。まあ常々「しいたげられた/消えゆく文化」というようなことに興味を持っているせいだろうか。お連れいただいた方の手前、涙をこらえるのに必死だったけれど。
ほぼ休みなしの2時間以上の独り舞台。本当に素晴らしかったです。