- 作者: ヘニング・マンケル,柳沢由実子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/09/21
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スウェーデン南部の町、イースタ署の管轄下にて、14歳と19歳の女の子がタクシーの運転手を襲って殺害するという事件が発生した。ヴァランダーが取り調べの際に容疑者を殴った瞬間の写真が、ある記者によって掲載され、ヴァランダーの社内での人間関係も問題が生じる事態に発展…そして、捜査の過程で地元のハッカーへ調査依頼するような事態も起こる。
伝統的な捜査手法と、ITを駆使した犯罪捜査が共存し、かつ複雑にからみあった面白い内容だった。昨今、ITシステムというのはインフラにも密接につながっているが、そのことを実感させる事件の連鎖に夢中になれる。しかも、この小さな町でおこった犯罪が、意外に国際問題に絡んでいくあたりも面白く、クルト・ヴァランダーシリーズのいつもの期待を裏切らない。
シリーズを読んでいる人間にとってたぶん驚きだったのは、ヴァランダーの署内での人間関係が予想外の方向に向かったことと、ヴァランダーの娘さんの意外なる人生展開か。ますます続きの話が気になるというものだ。