神の法vs.人の法―スカーフ論争からみる西欧とイスラームの断層
- 作者: 内藤正典,阪口正二郎
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
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イスラームの女性がかぶるスカーフの問題は、ヨーロッパ各国で問題になっているらしい。フランス、ドイツ、ベルギーといった国々ではそれぞれどのように問題になり、扱われているのか。フランスみたいに政教分離、ライシテが確立されている分疎まれる社会もあれば、ベルギーのように公教育の中で多様な宗教教育が認められているのにもかかわらず、スカーフのようなイスラームの規範を否定する文化がある国、また、オランダのように公立のイスラーム学校があるような国など、さまざまな姿勢があることを知った。
一方、イスラームのシンボルとして語られるスカーフは、別にコーランの解釈によってはかぶらなくてもいいものらしい。「陰部あるいは身体の美となるところを覆い隠せ」ということを、どのように解釈するかによってスカーフ着用の範囲が決まるようなのだ。一方、西欧社会は、スカーフの着用がイスラームの女性を解放することにつながる、という解釈からスカーフ反対を唱える人がいるとか。
たかがスカーフでは片付かない奥深い世界…。
この本の中では、やはり政教分離ライクリッキの体制をしいているトルコのスカーフ問題についても論じられている。以前訪れた時に、トルコのスカーフはかなりファッションセンスが高かったことを思い出した。もはや宗教らしい清貧さは見いだせず、華美なのだ。でも、そのスカーフブランドのTekbirとかARMINEなんて、ファッションカタログを多数出している。ショーだってやっているんだから。
これらをみると、とてもではないが「女性抑圧の象徴」とは思えないのだが。都会的華美なスカーフとその他のスカーフの境目はどこにあるのだろう。