少女は自転車に乗って

ハイファ・アル=マンスール監督、Wadjda、2012年、ドイツ&サウジアラビア

主人公の少女ワジダは、活発な女の子。アバヤをきて学校に通っているが、足元はコンバースっぽいスニーカーを履いたり、家ではロックを聴いたりしている。コーランにもまじめに取り組んでいないため、学校ではちょっと反抗的な女の子だとみられており、先生から目もつけられている。母親とは二人暮らし。たまに父親が戻っては来るものの、一夫多妻制が許されている国なので、父親は第二婦人を選んで近々結婚しようとしているらしい。

近所の少年アブダラとも自転車競走などして仲良くしているが、映画の端々から、年頃の少女は結婚していない男性と一緒に過ごしたりすることは問題になるような気配がある。

ある日、ワジダは自転車が欲しくなり、はじめはさまざまな小銭稼ぎで800リヤルを必死に集めようとする。そんなときに、学校で開催されたコーラン暗唱コンテストの優勝料金が1,000レアルだと知ったワジダは、苦手なコーランに向き合うのだった。

映画は途中で皮肉な展開がいろいろと待ち受けている。それでも、そんな彼女をあたたかく受け入れてくれる家族がいるワジダは幸せだと思った。少女が完全に自由になるにはまだまだ時間がかかるだろうが、少しの希望がみえるいい映画だった。

それにしても、今までイランとかアフガニスタンの映画はみたけれど、サウジアラビアの映画って初めてみた。全員が石油王のような印象があったけれども、必ずしもそんなことはないよな、と改めて思った次第。