お囃子プロジェクト×民謡@紀尾井小ホール(夜の部)


2022年8月30日に行われた、お囃子プロジェクトに行ってみた。このプロジェクトは、邦楽囃子方の望月秀幸氏、望月左太寿郎氏が主催しており、敷居が高いと思われている伝統芸能を、昭和歌謡やジャズ、ポップスなどと組み合わせてアレンジし、誰でも楽しめるようにしよう、という試みらしい。正直、お囃子そのものでも十分楽しめるのだが、そこに大好きな民謡も絡むなんて楽しみ!と、ほぼ衝撃的に行くことにした。ただ、申し込んだ後に気がついた。邦楽囃子と民謡の掛け合わせを期待していたのだが、邦楽囃子×民謡×洋楽(ポップス)なんだ...

具体的にどうなったかというと、プログラムをみるとわかる。
●お祭りマンボやん=おてもやん(熊本民謡)× お祭りマンボ(美空ひばり
●炭坑節+洋楽アレンジ
●お江戸日本橋(端唄)+かっぽれ+ベートーヴェン「運命」
●黒田節ロックユー=黒田節(福岡)+We Will Rock You (Queen)
●武になれ=「風になれ」(中村あゆみ)+武田節

その他に、民謡を理解するために「岡崎五万石」(愛知県民謡)と「さんさ時雨」(宮城県民謡)や「素囃子」、そして、望月秀幸氏による、三味線と篠笛のオリジナル曲+胡弓アレンジ等も楽しめた。今回、お祭りのような場所以外で民謡の生音を聞いたのは初めてだったのだが、素晴らしかった。この方のライブはまた別途行ってみたいなぁ。
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民謡とポップスの融合で面白いと思ったのは「お祭りマンボやん」と「炭坑節」かな。「炭坑節」のギターアレンジのメロディは、出演されていた田中庸介氏がアレンジしたそうなのだが、ありだな、と思った。沖縄民謡の「月ぬ美しゃ」のギターアレンジを初めて聴いた時の感動が蘇った感じ。ただ、洋楽と邦楽の融合は、どうも打物の間合いがずれている気がしてしまって、どうも気になってしまった。とくに、知っている曲同士の掛け合わせだと、両者が交わった時に理解が追いつかないという感じ。洋楽のテンポに引っ張られてしまい、拍子がずれているような、あとものによってはメロディがまったくあっていない気がしてしまった。それでも、まったく民謡を知らない友人と一緒に行ったら、その友人は、有名なポップスなりクラシックが使われていることで、民謡に親しみがわいたといっていたので、いい試みなんだと思った。

プログラムに丁寧に書き込まれた、各民謡の解説も嬉しい。「おてもやん」って歌詞は知っていたけれども、現代訳で考えたことなかったし、「ねんねんころりよ おころりよ」という子守唄の元が岡崎子守唄が元になっていて、その理由は岡崎が家康の生まれた土地だったから...というような話も、知らなかった。お客さんも常連が多そうで、きっとプロジェクトをリードする二人のトークが楽しく、かつ予想外の音の組み合わせが楽しいから通うんだろうな。これからも、誰もが思い付かないような組み合わせを編み出して、披露して欲しい。

出演者リスト
住田福十郎(邦楽囃子・打物)
福原友裕(邦楽囃子・笛)
水野詩都子(民謡歌手)
崎秀五郎(民謡三味線)
田中庸介(ギター)
ジャイアン谷口(パーカッション)
平山織絵(チェロ)

写真撮影タイムがあったのでとりあえず撮ってみたが、イマイチ…出演者同士の距離がありすぎてうまく収まらなかった。