2023年(令和5年)佐原の大祭秋祭り。思った以上に最高の街並みと佐原囃子に惚れ惚れ


東京ドームで例年行われていた「ふるさと祭り」で佐原の大祭をみて、そのお囃子を耳にしてから、一度行ってみたいと思っていたお祭りにとうとう行く機会を得た。ちょうどこのお祭りの日にJRが臨時急行を出すのがその発売開始時期が9月末くらいだっただろうか。


当日の電車では、何かのミス(ミス佐原の大祭、とかなんだろうか)、お祭りのパンフレットを配ってくれるので、それだけでテンションが上がるというものだ。そのパンフレットによると、佐原の大祭は300年以上も続く伝統の山車祭りで、7月に開催される夏祭りは八坂神社、10月の秋祭りは諏訪神社の祭礼として行われる。佐原の大祭は、2004年にそのお囃子である「佐原囃子」とともに重要無形民俗文化財に指定され、2016年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されたという。開催期間は三日間だが、今回は中日である10月14日土曜日に行ってみた。

駅にはチーバくんまで来ており、かなりの歓迎ムードが漂っている。

13:00の「山車14台整列完了」までに腹ごしらえをしようとしたが、もうすでにうなぎやさんもお蕎麦屋さんも食べ物は売り切れとなっていた...何ということだ。まだお昼前だというのに...。もう入れるところならなんでもいいや、というわけで、小野川の辺りにある、名も知らぬ麺類のお店でラーメンを食べたが、これはちょっとお高めでも味は美味しかった。

食事を終えて「仲川岸通り」にいくと、すでに山車が勢揃いしており、山車によっては音を鳴らしている。ウォーミングアップかな? その後、「通し砂切り(さんぎり)」を奏でてからの山車巡行開始。小野川沿いを大きな山車が行き交う姿は絵になる風景だった。本当は、下座連による「砂切り」の違いをわかりたかったが、ちょっと難しかった。それよりも、山車に何名くらいの下座連中がいて、どのように笛を回しているのかとか、大きな丸太を扱う人々とか、綱を引く人たちの踊る姿に惹きつけられてしまった。何せ14台も街に山車がいるので、言うなれば街のどこかでお祭りをやっている状態だ。好きだと思える山車を追っていたら、あっという間に時間が経過した。

16:00から「曳き分かれ」隣、そこから「山車乱曳き」とのことだったので、その前の時間を使って「山車会館」に入り、さらにお祭りの知識を得ることにした。佐原囃子は、笛、鉦、太鼓という普通の祭囃子のラインナップに加えて、「鼓」が加わるのが特徴らしい。ここで得た情報はだいたいこんな感じだ。
⭐️山車に乗っている人=下座連
大太鼓1名、小太鼓1名、大鼓1名、小鼓4-5名、笛4-5名、スリ鉦1名

⭐️佐原囃子の曲目=50曲以上が3つに分類される。
役物:笛1本と太鼓、すり鉦を中心に演奏される曲目。山車の引き出しと引き仕舞に演奏される「砂切り(さんぎり)」、「馬鹿囃子」そして曲がり角通過の時に演奏される「はな三番叟(ひしぎ)」の3曲がこれに当たる。

段物:大太鼓が入らない、佐原独特のもので山車がメイン通りを通過する時に演奏される。佐原囃子の神髄とされており、能や歌舞伎の影響を受けるなど最も洗練された格調高い音曲。「吾妻」「神田」「八百屋」「段七」「さらし」「矢車」「蘇我」「盾」...などがあるとか。

端物:流行歌や民謡、俗曲など、歌のあるものを佐原囃子風にアレンジしてもの、「あんば」「大漁節」「松飾り」「船頭小唄」「和楽」「ラッパ節」「佐原音頭」「佐原小唄」などなど。踊りのときに演奏されるのが大体端物らしい。確かに、山車を動かす前に、山車の前で綱を引っ張る人たちが歌いながら踊っていたのは、これなんだろうな。個人的には「八木節」の一説が聞き取れたことがハイライトだった。「チャーラーラー」ってな感じで踊り手さんたちがメロディをなぞっていたのが、また微笑ましい。

曲として好きだったのは、「あんば(佐原の里謡)」というやつ。🎵いつも賑わうお祭りは佐原囃子や水の郷ーあらよいやさー🎶 これが唯一聞き取れたかな。歌詞はよくわからないが、鎮西八郎為朝の山車を引いていた引き手が楽しそうだったから。「🎶うちの頭はいい男まばたきするよないい男だけど女にゃもてやせぬ 」みたいな歌詞を歌っていて、どうやらこれは「ラッパ節」の歌詞のようなのだ。端物というのは、シームレスに演奏されているのだろうか。

西関戸の山車を見かけた時、雄風會の下座連の中にレパートリー表を見つけたものの、よく見えなかった。もっとも、見たところで解読ができないのだけれども...

こういう動画を頼りに音を紐解いていくしかないかなぁ。
www.youtube.com

佐原で歌われている曲の歌詞を集めてくださっている方のブログを発見した。ありがたい。
http://www.sawara.com/maturi/kasi.htm

様々な下座連の音を聴き比べることができる動画も見つけた。清水芸座連の笛の青年は、左利きなのかしら。もしかして、山車の端に腰掛けた時に、対面に座っても、外側に笛の指穴部分が向くように左で吹く人もいるとかそういうことなのかな。この日の佐原でも左で笛を吹く人を見かけた気がしたのだが。
www.youtube.com

そういえば、仁徳天皇だったかの山車の、飾り物部分の高さを低くする時に立ち会ったのが、その時にも何かメロディを奏でていた。あれは、役物だったのかな。ちょっと西馬音内盆踊りの「がんけ」ぽかったけれども、まさかね。決まったメロディはあるのか。

見れば見るほと、奏でる曲についても疑問が深まる佐原の大祭。1日だけでは到底見切れなかった...道にいる、衣装を着ている人にちょっと質問をしてみると、とにかく下座というのは楽器のスペシャリストで腕前もよく、子供の頃から部活などでも鳴物を触る機会が多いのだ、ということを知った。肝心の曲の説明を現場で解説してくれるツアーはないだろうか。

あまりにも集中して楽しみすぎたので、佐原グルメはほぼ楽しめなかった。19時近くに有名なうなぎやさんに立ち寄ると、すでに売り切れとのこと。その他のお店にもことごとく振られてしまい、結局ほぼ何も食べずに佐原の駅をあとにした。佐原の大祭にて食事も楽しみたい方は、どうぞ計画的に...。