小曽根真もAvishai Cohenアヴィシャイ。コーエンもジャズの世界でのキャリアは随分長いと思うが、そういえばこの組み合わせはまだ見たことがなかった! というわけで、今日はこちらのライブに伺った。小曽根さんのことを知ったのは、「Dear Oscar」と言うアルバムだったと思う。その後、初めて買ったアルバムは、James Genes、Clarence Pennと組んでいたThe Trio時代の「Reborn」かな。ドラえもんの曲のジャズアレンジのカッコよさにやられてしまったのであった。
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その後、No Name HorsesとかGary Burtonとの共演なんかを小耳に挟みつつも、そこまで追いかけることはなくここまで来た。一度、「ラプソディ・イン・ブルー」を小曽根さんが指揮しながらピアノを弾く、というコンサートがあったが、そこまでものすごく感動、と言う感じでもなかったか。コロナ中の2020年にご自宅から毎晩ピアノライブのストリーミング"Welcome to Our Living Room」をはじめた時、私もFBから視聴者のリクエストに答えて次々とあらゆるジャンルの曲を弾きこなす姿を見て圧倒されていた。次にみるのがまさかあの、アヴィシャイとのデュオだとは思わなかった。しかも、「最近の知り合い」と言っていたから、本当に最近知り合って意気投合してこういうライブが実現したのだろう。
アヴィシャイ・コーエンは、チック・コリアに見出されたベーシストだったとは知らなかった。私が名前を知ったときは、すでにイスラエル系のジャズミュージシャンの代名詞のような存在だったからなぁ。小曽根さんとチックが長年親交があったことを考えると、この二人はいずれ出会う運命だったのかもしれない。私の記憶よりもだいぶ渋い雰囲気ではあったが、ベースをひく姿はとてもかっこよかった。
天才二人のライブは、本当に本当に素晴らしかった。「On the Green Dolphin Street」にグッと心をつかまれてあとは、それぞれのオリジナル曲を交互に演奏していくプログラム。二人をつなぐChick Coreaの"Matrix"を挟んで、Avishaiの曲でクローズかと思いきや、アンコールは「 I Didn’t Know What Time It Was」をAvishaiが歌うサプライズまであった。ピアノトリオ好きには、ドラムレスのデュオに飽きないか心配だったが、そんな心配は全く無用だった。二人の天才はステージ上で音を通じてちゃんと会話して調和していた。Avishai の日本や聴衆に対する愛、そしてイスラエルの現在の様子に心を痛めているだろうこともよく伝わってきた。ちょっと涙すら出そうになったもの。
紀尾井ホールの音が良すぎて、私の席からだと二人の声がホールに吸い込まれてしまい、MCがフルに聞き取れなかったのは残念だったが、音が幸せすぎたからもうそれでいい。スタンディングオベーションも長く続く拍手も、みんな本気で送っていたと思う。久々にいいライブに出会ったので、思わず記録したくなった。