ジャズギターで実力を発揮する、マヌーシュ・ジャズギタリストRomaneの息子たち

10年くらい前からマヌーシュ・ジャズを聴いている人なら、ロマーヌRomaneの名前を知っているだろうか。古くは、New Quintet du Hot Club de Franceのメンバーとして、ジャンゴ・ラインハルトの息子、バビク・ラインハルトBabik Reinhardt、トリビュートアルバムを出すほどグラッペリStéphane Grappelliを敬愛していたディディエ・ロックウッドDidier Lockwoodなどとアルバムをリリースし、活動していた時期もある。ちょっと変わった活動としては、Francis Paul Veber 監督作品「奇人たちの晩餐会」のサントラでフィリップ・カテリーンPhilip Catherineと腕を競っていたことを思い出す。
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2007年には息子リシャール・マネッティRichard Manettiとともに"Pere & Fils(父と息子)"と題したアルバムを、また、 2014年にはRichardとその弟、ピエール・マネッティPierre Mannettiとともに"Guitar Family Connection"というアルバムをリリースするとともに、二人の息子と共に多くのライブを行なっていた。なかでも、Jazz in Langourlaのライブ映像は、息子たちを両脇に従えて演奏するRomaneが嬉しそうですごく印象的だった。
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Romaneは演奏家にとどまらず、2010年にはSwing Romane Academieを設立して教育責任者に就任、また、2016年にはギタリストDerek Sebastianと共著で"L'esprit Manouche"という教育本も出版するなど、教育分野でもアクティブに活動しているミュージシャンでもある。残念ながら2017年以降はRomaneの活動状況があまりみえてこないのだがが、二人の息子は大活躍といえるのではないか。

まずは兄のリシャールだが、昨年2022年にはフランスのイスーダンで開催されているギターフェスティバル、Festival Guitare Issoudunにギョーム・ムシャールGuillaume Muschalleと出演していた。さっそくライブ映像をみてみたが、素晴らしいギターデュオではないか! 

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2023年10月30日にもこちらのフェスに出演することが決まっているそうだ。

一方弟のピエールだが、昨年、カルテットによるジャズアルバム"First Shot"を出していた。しかも、収録曲はすべて自身の手によるものだ。

オルガンのChristophe Craveroが、ギターにいい味付けをしてくれている。正直、オルガンは「ハモンドB-3」しか知らなかったのだが、わざわざ「nord C2D」と書かれているということはきっとファンが多いモデルなのだろう。ちなみにTSF JAZZLIVEでセッションをしたようだが、ピアノとの組み合わせもまた素敵。
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そういえば、David Reinhardtも昔オルガンのFlorent Gacとトリオを組んでゴリゴリのジャズやっていたなぁ。マヌーシュ・ジャズの英才教育を受けると、マヌーシュ・ジャズ以外の世界を見たくなるのは普通のことなのかもしれない。いずれ、音楽を発信し続けてくれるのはリスナーにとって嬉しいことであり、Manetti兄弟のこれからの活躍を楽しみにしている。