- 作者: 深沢七郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1987/11
- メディア: 文庫
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あの「楢山節考」で有名な作家が、文壇の大物(井伏鱒二、石原慎太郎、武田泰淳など。とくに正宗白鳥とのエピソードが多い印象)に、思いのままに発言したり行動しては後悔した、その記録。
これが、本当に笑える。たとえば、正宗白鳥の名前に「白鳥の湖」などと関係している人であろうと想像して、そのうち、菊正宗の跡取りじゃないかと考えて、本人にそのことをきいてみたり、有名な先生にどこかの雑誌から切り抜いてきた「作家小唄」という作家さんの暮らしを揶揄したような手品な作品をみせて偉い先生をちょっぴり困らせて後悔したり(でも、また見せちゃう)、お見合いで作家の暮らしについて正直すぎる発言をしまくって仲人さんにまであきれられたり。深沢氏の言動がナチュラルすぎて、でも憎めなくて、大笑いした。こんなに本で笑ったのは久しぶり。
ちなみに、本の後半にはお母様とのエピソードなども収録されていて、味わい深い。