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Benkei et Minamoto ベンケイとミナモト。洋楽世界のCool Japan

昨日、たまたまTV5 Monde Acousticの映像を観ていて、IAMのライブが目が留まった。IAMはマルセイユで1989年に結成された6人組ヒップホップユニットだ。バンド名は"Invasion Arrivée de Mars"、つまり火星から来た異星人の頭文字から来たとは、今知った。てっきり、英語の「アイアム」をそのままもじったのかとばかり思っていたのだ。
ちょうど1994年、フランスにいたときにフレンチラップ旋風吹き荒れるなか"Je danse le mia"という曲が流行っており、カセットテープ(当時)で何度も聴きまくったものだ。ライブ映像を観たけれど、今聴いても相当カッコイイ。"Street Life"の音がちょっと入っていたりして。若者の音楽をやっている人、という印象だったので、あれから20年経過した今も活動していると知って純粋にうれしかった。

ただ、その曲のタイトルをみて、驚く。昨年リリースされたようなのだが、「ベンケイとミナモト」なのだ。

弁慶とセットで曲名になるなら、明らかに源義経のことだと思うのだが、なぜここに苗字を持ってきたのだ! いきなりの「源」呼ばわりに混乱した自動翻訳ソフトが混乱して、勝手に「源頼朝」にしちゃっている。 メンバーのAkhenatonとShurik'nがそれぞれ1番と2番を歌っているのだが、PVの映像に出てくるのは、何とも「オリエンタル」な世界。桜っぽいけれどやけにピンクな花と、赤い欄干、岩がゴツゴツしすぎて、苔むすも日本っぽくないお寺、ベトナムや中国の農村で見かける(イメージ)三角帽をかぶって刀を振り回す女性と、燃えよドラゴンブルース・リーを彷彿させる男、湿地のカンフーポーズ…タイトルはニッポンっぽいのに、歌詞にもサムライとか切腹なぎなたが出てくるのに、武蔵坊弁慶はフルネームに比叡山延暦寺で修行していたことを示す「西塔」までつけてきているのに、PVに日本っぽさがなーい! 
調べてみたら、やはりタイトルどおり、2人の偉大なるサムライをテーマに、日本の中世の伝承を描いたようなのになぁ。ちなみに義経と弁慶の話は、Pascal Fauliotという人の本"Contes des sages samouraïs"の内容をベースにしているそうだ。本には正しい情報が書いてありそうなのに。
Contes des sages samouraïs (2011) , Pascal Fauliot, Beaux-Livres - Seuil
こういう、日本が不思議な雰囲気で描かれているPV、たまーに見かける。ふと思いだしたのが、カナダ人シンガー、ナターシャ・サンピエールNatasha St Pierの"Un Ange qui frappe a ma porte"だ。こちらは、「天使が私の扉をたたくけれど、入れてあげてもいいものか」というようなことを歌っているので、日本は関係ないのだが、冒頭部分、明らかに日本語で「おはよう、すみません」という声が入っている。途中の間奏部分も然り。そして、PVにはやたら華美なドレッシー着物と琵琶のような楽器を持ち、品のないお化粧をした老女が佇むのである。

私が初めて接した、非日本人のものすごい日本感の表現は、Culture Clubの"Miss Me Blind"のPVであった。80年代前半から30年が経過して、だいぶ日本文化の存在感は増したような気がするのだが、それを自分たちで表現しようとすると、やはり難しいのだろうか…。