瀧野薫 個展「私の庭」-KAORU TAKINO Exhibiition "My Garden".

銀座の井上画廊にて行われている、瀧野薫氏の個展に行ってきた。彼女と再会するのは、25年ぶりくらいか、いや、もっとか? もはや、具体的に遊んだ思い出や風景はぼんやり思い出せるが、本人の面影は忘れているくらい会っていなかったのは確かだ。

そんな、子どものころ無邪気に遊んでいた人が、私も住んでいる都内でこつこつと才能を開花させ、銀座の一等地にある画廊で個展をやっている。訊けば、幼稚園のころから好きで、よく絵を描いていたそうだ。ということは、一緒に絵を描いたりして遊んだ可能性もあるのかしら。感慨深いね。

画廊には20点ほどが展示されていた。なんだか、モダン日本画な第一印象を持った。色合い的に、平山郁夫さんを彷彿とさせたからかな。カンバスをよく見ると、砂壁みたいな素材の上に描かれており、マットな質感が色合いを上品に見せている。構図は、大胆な感じ。でも、よくよくみると、モチーフは東南アジアを思い起こさせる物が多い気がする。南国でよく見かけるシダ類や、鮮やかな蝶など。タイトルが「私の庭」とあるとおり、この作品群は、彼女の空想のお宅から見える空想の風景を窓からのぞいているイメージだそうだ。そして、東南アジアが好きだとは、本人の弁。道理で、空想の庭に東南アジアの息吹があるわけだ。

空想ガーデンもさることながら、果物の絵も秀逸。つや感などが美しく再現されていて、絵なのにヨダレがでそうになるくらいリアルだ。彼女曰く、最高級のものを買って、スケッチをするそうだ。へえ。その「おいしい」っていう感情が、きっと、絵にも反映されているんだろうね。