西原理恵子の「あなたがいたから」―運命の人鴨志田穣

西原理恵子の「あなたがいたから」―運命の人鴨志田穣 (NHK「こころの遺伝子」ベストセレクション)

西原理恵子の「あなたがいたから」―運命の人鴨志田穣 (NHK「こころの遺伝子」ベストセレクション)


NHKで放映された「こころの遺伝子」という番組の取材チームが、当時の取材の様子をもとに、西原理恵子氏と生い立ちと漫画家になるまでの経緯、鴨志田穣氏の出会いや彼に対する彼女の想いを通じて、二人のきずなを改めて探る内容。取材の時々で西原氏がみせた表情までを記録しているのは、取材班ならではの目線であろう。ちょうど、亡夫である鴨志田穣氏の「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」を読んでほろりときていた直後だったせいか、この本読んだら号泣した。
西原氏は、「頭が図書館の人がきらい」といっていた。わかるなぁ。確かに知識ばっかりある人よりも、現実をみている人のほうが信じられるし魅力がある。鴨志田氏は、戦場カメラマンとして現実をみている人で、そこが西原氏にとって魅力だったんだろう。もちろん、その現実に耐えきれなかったから、アルコール中毒を患ったんだろうけれども…。
私が彼らを知ったのは「タイ怪人紀行 (角川文庫) 」だった。ちょっとした毒っ気と破天荒と笑いが盛りだくさんの本はひたすら明るくて、彼らが実はものすごい境遇からここまで来たことすら、知らなかったせいかな。
二人はどんな負のスパイラルに巻き込まれそうになっても、「どん底でこそ笑え」というのを実践していたという。でも、決して器用にはみえない二人の、その裏にあるであろう多少の無理を考えたから、涙が出たのだろうか。