ちいさな哲学者たち


(Ce n’est qu’un début、監督: ジャン=ピエール・ポッツィ、ピエール・バルジエ、2010年、フランス)
パリ近郊の教育優先地区(ZEP)の幼稚園でパスカリーヌ・ドリアニ先生によって行われた哲学の授業の模様を撮影した、ドキュメンタリー授業。
ZEPは、決して裕福なエリアではなく、教育の成果があがりにくいところが指定されるとどこかで読んだが、どうだろう。とにかく、いろいろな人種の3歳〜5歳の子どもたちが、あるテーマについて語り合う。それこそ、愛、死、リーダー、貧しさ…時に議論は危うい報告にも行くが、パスカリーヌ先生がうまくリードしていく。そうこうするうちに、子どもたちは自ら愛や死についてお友達と語り合ったりするようになるのだ。
語る上で出てくる、彼らなりの表現にいいものがたくさん含まれていて、感心してしまう。そして、こういう授業での試みをフォローするのは、やっぱり家族だということを痛感。この映画でも、いくつかの家族の、授業後の家での会話をフォローしているのだが、きちんと授業の方向性を汲んでご両親が子どもと会話をしており、こういう段階を経て授業の試みは成果になるんだろうな、と思った。
子どものうちから意識的に色々考えるって、大事だよね。

最近、本国版と日本版のポスターの違いが楽しくて、映画を観終わるとついつい探してしまう。日本版はMaya Maxxさんのイラストが中心のポスターだ。青い目の子がほとんどいないクラスなのに、日本の映画の宣伝だと、なぜかこうなるのは、きっと日本人のイメージするフランスの子が青い目の少年だから、なんだろうなぁ。でも、一人の親しみやすい子どもの絵が、なんとなくこの映画を観たいというモチベーションをあげてくれるのかもしれない。