蛍・納屋を焼く・その他短編(村上春樹)

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)


久々に村上春樹さんの本を読んだなぁと思って書かれた時期をみてみたら、80年代後半の短編集だった。
この中でいえば「めくらやなぎ〜」とか「蛍」に書かれているような、曖昧な関係の男と女、あるいは人と人との、あつくもなく冷たくなくもないような空気感は、この人独特の作風なんだなぁと思った。でも感じがリアルというか。
「踊る小人」や「納屋を焼く」は、シュールな話。
ちなみに、「蛍」に出てくる女の子がプレゼントされるのは、ヘンリ・マンシーニのレコード。

そして、「納屋を焼く」で主人公の男が彼女らしき人とそのまたパートナーと、マリファナタバコを吸いながら聴く音楽はマイルスの「エアジン」。

主人公はときに三人称でのみ語られるのに、そこに流れる音楽は妙にきちんと指定されているのが、またおもしろい。