ニュージャージー出身のミュージシャンといえば、だれが思い浮かぶだろうか。私の中ではBon JoviのJon Bon Joviとそのメンバーあたりが思い浮かぶ。今ちょうど映画上映中の、"Jersey Boysジャージーボーイズ"の元ネタであるThe Four Seasonsもニュージャージー出身のようだ。(このことは映画のタイトルで知ったようなものだが)。
さて、米国のギタリスト、バッキー・ピザレリBucky Pizzarelliも実はニュージャージーの出身だ。マヌーシュ・ジャズが好きならば、バッキーがこなすさまざまなジャンルのなかに、マヌーシュ・ジャズが含まれていることをご存知だろう。ウディ・アレンの、ジプジージャズの天才ギタリストを描いた映画“ギター弾きの恋Sweet and Lowdown.”では、ハワード・オルデンHoward Aldenとともにサウンドトラックのギターを担当したのもこのお方。さらなる雑学だが、ハワードも、そしてバッキーも、Robert Benedettoという人の作った7弦ギターを愛用しているらしい。
【参考】Two Guitarists, as Heard in a Woody Allen Film
http://www.nytimes.com/2012/01/15/nyregion/in-pelham-jazz-guitar-legends-will-reminisce-over-reinhardt.html
バッキー・ピザレリは1926年生まれ、17歳でプロとしてのギター活動を開始しているので、すでにその活動歴70年を超え、88歳となった今なお現役だ。そのバッキーが、やはり米国のジプシージャズバンドであるパールジャンゴPearl Djangoと共演している映像を見つけた。
パールジャンゴというバンド名がロックバンドのPearl Jamでももじっているのかと思ったが、似ても似つかない落ち着いたメンバー陣、演奏スタイルだ。結成場所はワシントン州タコマ、つまり西海岸である。
Pearl Django | News
最近ちょっと技能が高く凝ったアレンジのマヌーシュ・ジャズにばかりふれていたこともあり、彼らの演奏の力の抜け具合が心地よい。ましてや演奏している曲が曲だもの、こんな"I'll See You In My Dreams"だったら、本当に君に夢で逢えそうだとさえ思う。途中のPearl Djangoのバイオリニスト、マイケル・グレイMichael Grayとバッキーの掛け合いもにも、その素朴さに癒される。
マヌーシュ・ジャズというのは、中心人物たちが音楽一家で生まれ育ったような人ばかりなので、演奏家たちの技術力が相対的に高くなって、どうしてもギター演奏技術やらスピードに注目が集まりがち。でも何の曲でも凄腕超速で聴きたいわけではなくて、こういう素朴な演奏もまたいいなぁと思った。