Toninho Hortaの"Aquelas Coisas Todas"作曲のきっかけになった映画を発見

Toninho Hortaの名曲、"Aquelas Coisas Todas"は、Luiz Alberto Sartoriルイス・アルベルト・サルトリ監督のドキュメンタリー映画"Dona Olímpia de Ouro Preto"のために書かれた4曲のうちの1曲だ。コロナのなか、ある映画館がこのドキュメンタリーをオンラインで上映したらしく、少しその内容を垣間みることができた。
映画のタイトルを敢えて訳すならオウロ・プレットのドナ・オリンピア、みたいな感じか。Donaは、スペイン語圏とポルトガル語圏で使われる貴人・高位聖職者に対する尊称ということで、ニュアンスがいまいちわからないのだが、日本語でいう「政界のドン」の「ドン」も語源だったりするそうな。ちなみにオウロ・プレット (Ouro Preto) はブラジルのミナス・ジェライス州世界遺産認定された歴史的都市らしい。サルトリ監督の出身地でもあるとか。


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残念ながらこの映像には"Aquelas Coisas Todas"が使われた部分が入っていなかったけれども、サントラにトニーニョ・オルタの雰囲気を感じるだけでテンションがあがるというものだ。

さて、最近、この名曲のカバーのバリエーションを発見したのでここにメモしよう。

まずはいくつかのジャズフェスの動画でブラッド・メルドーBrad Mehldauがこの曲を弾いているのをみかけた。意外な組み合わせだと思って調べてみたら、2012年のアルバム"Where do you start"でこの曲をカバーしているのだった。おお、完全に見逃していた。
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そして、ドイツのトランペッター、Till Brönnerティル ブレナー。コロナ前の2019年に、フランクフルトのビッグバンドとこの曲を演奏している。しかもティルがスキャットのところを担当している!
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これには布石があり、ティルは2008年のアルバム"Rio"で、この曲をカバーしていることを発見したのだった。このアルバムにはギターにNelson Faria、ボーカルにLuciana Souzaが参加していて、ブラジル音楽好きには気になる内容だ。

こちらは、John Pizzarelli と(確か)Tom Jobimのお孫さん、Daniel Jobim のコンビがFestival de Jazz de San Javier 2017で披露した同曲。ジョン・ピザレリも自分のアルバム"Bossa Nova"にこの曲を収録していた。
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この曲の魅力は、どんなアレンジでも輝くメロディラインであることに尽きる。
洗練されたピザレリのアドリブアレンジも魅力だが。
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こんなゆるい演奏だって素敵なのだ。
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最後にご本人の映像を。トニーニョには自由なアレンジでいつまでもこれを弾いていてほしい。
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