「Preston Jazz & Improvisation Festival 2021」はオンライン開催。"A Day of Django"でマヌーシュ・ジャズも楽しめる

イングランド北西部の町、プレストンで行われているジャズフェスがある。「プレストンジャズ&インプロビゼーションフェスティバル(Preston Jazz & Improvisation Festival (PJ&IF)」という、セントラルランカシャー大学が英国芸術評議会はじめ、多方面から支援を受け、ジャズフェスとも提携してキュレーションした音楽フェスティバルだ。ジャズといっても幅広いスタイル、フェスの名前にもあるとおり、即興音楽を取り扱っているのが特徴的といえる。

今年は、2021年5月16日から6月5日の間開催されており、オンラインでも視聴できるようになっていた。ただ、今年のバナーで出演者をみても、正直ピンとこないというか、目玉となるアーティストがいまいち見えてこない。(お前がジャズミュージシャンをわかっていないだけだ、と言われるとそれまでなのだが)。
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でも、あなどるなかれ。このイベントの一環として実は、"A Day of Django"という、ジャンゴ・ラインハルトの功績を讃えるための企画があり、なかなか豪華なメンバーが出演しているのだ。

まずはオンラインでDjangoの音楽を語るセッション。ダニエル・ジョン・マーティンDaniel John Martinやマイケル・ジョセフ・ハリスMichael Joseph Harris、クリス・クインChris Quinn(Robin Nolan Trioのメンバー)がマヌーシュ・ジャズの特徴や魅力を語っている。英語でこういう会話が聴けるのは珍しいのではないだろうか。
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そして次は出演者。お腹いっぱい、垂涎もののメンバーだ。

Robin Nolan Trio & Jimmy Rosenberg
こんなところでジミーが見られるとは! 相変わらず大きいけれども元気そうで生き生きとギターを弾いていてよかった。

Romane with Daniel John Martin
こちらは、大御所ロマーヌとヴァイオリンのダニエル・ジョン・マーティン(DJM)のトリオ。リズムギターにジュリアン・カティオーJulien Cattiauxとベースのウィリアム・ブルナールWilliam Brunardも加わったメンバーだが、実は長く活動をしている組み合わせのようだ。ライブの最後に弾いている曲 “Rendez-Vous” もすでにイタリアのレーベルからリリース済みとか。ロマーヌはソロか息子たちとの活動が中心だと思っていたのだが、このquartetで秋にセカンドアルバムを出すというので、期待している。
danieljohnmartin.fr

ちなみにDJMは、フランスのコンセルヴァトワールを出ていたり、Didier Lockwoodの初の生徒だったりとフランスに縁のあるアーティストだが、生まれは英国のリバプール郊外だったはず。なのに英語にフランス語の影響が大きくてびっくり。

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こちらのリンクはUltrafaux というイングランドのグループ。本イベントの関連トークショーにも出ていた、ボルトンにいるマイケル・ジョセフ・ハリスMichael Joseph Harrisがリーダーで、今回はジェイソン・アニックJason Anickというヴァイオリニストがゲスト出演している。知らないグループだったが、冒頭のオリジナル曲を聴いただけで、彼らがいかにジャンゴ・ラインハルトに傾倒しているかが想像できる。
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自宅にいながらにして、2時間近くマヌーシュ・ジャズの名演奏が聴ける機会もなかなかないだろう。こんなに素敵な動画なのだから、ぜひ多くの人に観ていただきたい。