人生スイッチ


2015年、 ダミアン・ジフロン監督、アルゼンチン・スペイン、Relatos salvajes

映画のタイトルを直訳すると「ワイルドなおはなし」みたいな感じだろうか。話はオムニバス形式で、5話が入っている。
1.おかえし(Pasternak)
原題のとおり、パステルナックさんをめぐる悲劇。飛行機のコンパートメントに荷物を入れるシーンから、飛行機がつっこむシーンまで、おもしろい撮影アングルが楽しめた。

2.おもてなし(Las ratas)
原題は「ネズミ」か。女亭主の思い切りの良さに注目、といったところか。

3.パンク(El más fuerte)
「より強い人」みたいな感じかな。ものすごい田舎で、都会から来たらしい男が、自分を邪魔した地元の運転手を邪魔したことで、壮絶な目にある。バトルの激しさもさることながら、最後つい笑ってしまった。

4.ヒーローになるために(Bombita)
「爆弾男」っていうタイトルのほうがしっくりきたのだが、どうだろう。主人公は発破職人の男。駐車禁止のところにとめたわけでもないのに車がレッカーされてしまったことで、色々な歯車が狂い始める。

5.愚息(La propuesta)
ひき逃げをテーマにした話。邦題のとおり、愚か者の息子を金持ちの両親が守ろうとする。顧問弁護士をはじめいろいろな人が仕掛けてくる提案にブチきれた父親が出た行動とは。
これは、ちょっとエンディングが予想外だったな。

6.Happy Wedding (Hasta que la muerte nos separe)
原題は「死が二人を分かつまで」みたいな感じかな。結婚式の誓いの言葉の定番ですな。
でもいや本当に死ぬんじゃないか、という修羅場をみた。結婚式で流れるジプシーブラスも圧巻だったけれども、こんなにノリノリの結婚式、日本ではありえないのではないか…。

すべての話に通じるのは、世の中の不条理あるいはちょっと気に食わなかったことに、かなり感じの悪い態度をとった結果、予想外のことが起こる…ということか。登場人物はどの人も悪態の付き方が相当ひどくて、激しい。それでも、「ヒーローになるために」の人などは、最終的にSNSの世界ではヒーローのように扱われたりして、ひどい態度の結果もっとひどい目にあった人たちを責めるでもない展開に好印象を持った。こういうブラックなジョークを含む映画はすごく好みだ。

ロンパーチッチの記事でGitaneのジャケット再発見

ジャズ喫茶の情報が素敵な取材記事とともにつづられているこちらのブログで、なじみのエリアのジャズ喫茶情報を見つけた。中野から行くと、マグロマートあるいはパパブブレの先にあるんだなぁ。いつか行ってみたい。
jazz-kissa.jp

このページをみて、真っ先に気になったのが、扉写真だ。このアルバムは、Charlie HadenとChristian Escoudeのアルバム"Gitane"だ。(お店の方、マヌーシュ・ジャズも好きだったりするのかな? しないか…)。でもうちにあるCDのジャケットと違う。うちにあるのはこれだもの。
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そして、扉絵にあるのはこちら。
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CDとレコードでジャケットデザインを変えているアルバムってたくさんあるのだろうか。

久々にアルバムを引っ張り出して聴いてみるかな。

ジャズを聴くための愛用品「KENWOODハイファイコンポ R-K801」が動かない。

iTunesがこんなに普及する前から、我が家ではCDプレイヤーが大活躍だった。

ところが最近、なかなかCDを読み取らなくなってしまい"No DISC"の表示を出し続け、とうとうレンズクリーン用のCDすら読み取らなくなった。これは修理に出してみよう。奇跡的に「取扱説明書」があったので、さっそくサポート窓口に連絡するも、通じず。もう10年くらい前に日本ビクターとケンウッドが経営統合して、色々なものが変わってしまったんだな。
さっそくネットで検索し、こちらの連絡先を探し当てた。
www.kenwood.com

状況を説明すると、一応ある部品の問題だと思うが、みてみないとわからないので、とりあえずものを送ってほしいとのこと。そこで改めて状況をみて連絡を入れます、とのことだった。果たして連絡をすると、技術者の方の予想どおり何か中の部品(名前忘れた。伝票にはワッシャー/スペーサーと書かれている)が故障しているとのことだった。そして在庫があるので、それで対応します、とのことだった。2万円ちょっとかな? 値段の記憶はないけれども。

製品は1週間くらいで修理されて返送されてきた。決してマニュアルどおりではなく、あたたかい対応をしていただいたKENWOODの技術者の方に感謝。

故障していたというパーツはこちら。どっちが表でどっちが裏かもわからないや。情けない…。

"UM CAFÉ LÁ EM CASA(UCLEC)"は、ブラジル音楽のパラダイス!

夏になるとどうしてもブラジル音楽が聴きたくなってしまい、色々動画サイトをあさってしまう。今日見つけたのが、こちらのUM CAFÉ LÁ EM CASAだ。まるで家でコーヒーを飲む感覚でブラジル音楽に親しもう、という音楽プログラムだとみた。ホストはネルソン・ファリアNelson Fariaという人が務めており、調べてみたところ、有名ミュージシャンのサポートギタリストとして、あるいは作曲家としても活躍している方だった。
彼の監修した教則本は日本でも発売されている。
http://arikitamusic.parfe.jp/goset.htm

このネルソンがブラジル音楽界のレジェンドを招いて、トークとセッションを繰り広げる。

たとえば、イヴァン・リンスIvan Lins。いきなり、自分が弾いた初の音楽としてInfluencia do Jazzを演奏したと思ったら、あれ、Setembroをつま弾き! "Dinorah, Dinorah"をNelson Fariaと共演してみたり。

João Donatoは、小野リサさんのアルバムでも演奏していた名曲"A Rã(カエル)"から始まったと思ったら、自分とピアノの出会いや、ハノンなどの練習曲でのスケールの練習から、作曲するに至るまでをアツく語っている。

マルコス・ヴァーリMarcos Valleの回は、自身の名曲Samba de Veraoでスタート。この曲が50年前に作られたとはにわか信じがたい、時代を感じさせないコードだなぁ。"Preciso Aprender A Ser So"、ロマンティックでよい曲だなぁ…。いろんな人のカバー曲を思い出しながらうっとりした。

レイラ・ピニェイロLeila Pinheiro。この人、大好きでした。「年取ったらいろいろ下がってくるのよ、歌いやすいコードもね」なーんてぶっちゃけていた。カルロス・リラCarlos Lyraのメドレーの弾き語りが贅沢。

レイラは二回登場しているのかな? 前回は声のみで勝負している。

ジョイスJoyceも出演。"Na Casa do Villa"って彼女のパートナーが参加しているアルバムからの曲だと思うが、昔の曲を演奏しないあたりに何か強いポリシーを感じる。誰に指図されることなく、今やりたいことをやっているのだな、きっと。

ほかにも、ジョアン・ボスコJoão Bosco、セリア・ダンカンZélia Duncan、トニーニョ・オルタToninho Horta、ホベルト・メネルカルRoberto Menescal…しばらく楽しめそうだ。

シティポップ好きが必ずときめく、一十三十一のニューアルバム"Ecstasy"

シティポップ好きが必ずときめく一十三十一(ひとみとい)が今月19日にニューアルバム"Ecstasy"を出している。こちらにアルバムのダイジェストがある。

たぶん、"Serpent Coaster"と"Let it Out"に"MoonLight"、"Blue, Midnight Blue"に"Varadero via L.A."あたり、好きになりそうな予感がしている。夏にマッチする極上のポップスを聴くと、夏の暑さを許せるような気がするのは私だけだろうか。「プロデュースは全曲あのDorian!」とか書かれているサイトがあるが、私の知るドリアンは詩人のドリアン助川さんのみだ。きっと違うようなぁ、だって芸風が違うもの。

こちらが、最近UPされた、"Flash of Light"とのMV。どうだろう、どこかの化粧品会社の夏のキャンペーンに採用されてもよさそうな曲だと思うのだが。

ライブに行くことを本気で考えるこのころの私だ。

Carpool Karaoke!! 自然体にふるまうアーティストにほれる!

英国の俳優、ジェームス・コーデンJames Cordenが、自身の"The Late Late Show with James Corden"でやっている人気コーナー、Carpool Karaokeカープール・カラオケ)が好きだ。ジェームス・コーデンの運転する車に有名な歌手が乗ってきて、二人でトークしながらカラオケをしまくる、という番組だ。もちろん、意外に歌唱力がないな…とがっかりするアーティストもいないでもないが、コーデンのMC力と歌唱力が、アーティストの魅力をますます増幅させている、と思う。

私のお気に入りの回はこちら。
★Jennifer Hudson
映画"Dream Girls"で、Beyoncéを圧倒する存在感を見せたジェニファー・ハドソン。痩せてとっても美しくなっているうえに、お茶目な性格と素晴らしい歌唱力で…ドライブスルーでバーガーを注文!

★Bruno Mars
ジェームスが新曲の"24K Magic"を完全にマスターしているのに驚く。もう"Uptown Funk"なんて最高! ジェームスのラップ力がこの回をさらに盛り上げている気がする。そしてブルーノ・マースの歌唱力、当たり前だが圧倒される。

Stevie Wonder
そもそも、このレジェンドが番組に登場するだけでもすごいのに、名曲の数々を歌いあげた挙句、ハーモニカ持参での"Isn't she lovely"!! Wondercatsってグループを結成する、なんて言っているけれど、本当に作ってしまえばいいんではないかと思う。

★Red Hot chilli Pepeprs
"Under The Bridge"を歌っている!! そして、途中脱いで盛り上がるんだな。何年経ってもレッチリは壊れている。

Gwen Stefani
ジョージ・クルーニージュリア・ロバーツが途中で乗車してきたうえに、みんなでQueenの大合唱…! なんという贅沢。

★ブロードウェイスペシャ
Lin-Manuel Mirandaってだれ?と思ったら、ブロードウェイやらディズニー映画の作曲やプロデュース等を多数やっている人らしい。有名なあの曲が出てきます。

なんで急に…と思ったら、ジェームス、2016年のトニー賞のオープニングでブロードウェイ音楽メドレーをやっているではないか。

この人の歌唱力はブロードウェイでも通用するんだろうな。次はだれを車に乗せてカラオケをしてくれるのか、楽しみにしている今日この頃。

半落ち

佐々部清監督、2004年、日本


元警察官の梶聡一郎が、妻殺しを自首してきた。しかし、どうしても口を割らない「空白の二日間」がある。それはなぜなのか。「死に場所を求めてさまよっていたのだ」という梶の自白により、一度はコトがまるく収まったようにみえたが、その自白が嘘であることを見抜いた検察や、真実を暴こうとする新聞記者により、空白の二日間の真実が明らかになりそうになる。そこには、アルツハイマーになった妻の言動や、骨髄移植ができずに亡くなった息子に大きな関係があった。

だいぶ前に小説を読んで感銘を受けた記憶があるが、小説と映画にどういう違いがあったのかまで解明するには至らなかった。しかし原作者の横山秀夫が新聞記者の役だろうか、劇中で傍聴席に座っているのがみえたので、きっと映画の仕上がりにも満足したのだろうな。
「あなたは誰のために生きていますか?」という問いかけが随所で用いられており、それが妙にグッとくる映画でもあった。心優しい人の人生というのはこんなにも切ないものなんだなぁ…。