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生誕130年記念 藤田嗣治展 -東と西を結ぶ絵画-

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フランスで生涯を終えた画家、藤田嗣治の展覧会に行った。実は今まで彼の作品で観たことあるのは、「アッツ島の玉砕」と、平野政吉という資産家からの依頼で作ったという「秋田の行事」、あとはポーラ美術館の子どもの絵シリーズくらいだったので、一度にこれだけ多くの作品を観たのは初めてだ。
もともと父親が医者という裕福な家の出身で、画家を志して東京美術学校を卒業し、パリに渡ったのは26歳。今の藝大に収められている藤田作品は、特徴のない(といっては悪いが)、西洋画で名をはせた黒田清輝などの日本人に画風が似通っている作品もあり驚く。
パリで試行錯誤した結果生まれた、乳白色の下地と黒い線を使った裸婦や猫、それに自画像だ。誰にも似てないこの特徴的な絵でパリ社交界でも名の通った画家になったようだが、せっかくフランスで成功するも日本の画壇では酷評されて受け入れられなかったとか。その後、従軍画家として作った作品で、日本国民が感銘を受ける姿に絵の力を見出すも、戦後になると戦犯扱いされたらしい。結局藤田は日本国籍を捨ててフランス国籍を取得し、フジタ礼拝堂を最後にこの世を去ったそうだ。

フジタの一生を、その絵を通じて知ることができる、非常に良い展覧会だった。時期によって作風が変わるフジタの心理状態を思い図ると哀しくなる。せっかく日本人に生まれて日本で受け入れられたいと願っただろうに、都合のいい時だけ受け入れられた挙句、戦争協力者のスケープゴートのようにされて捨てられるなんて、才能があっただけにさぞ無念だっただろうなぁ。晩年なんて本当は日本で暮らしたかっただろうに…と考えるとそれだけでいたたまれない気持ちになった。