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12月4日(土)〜10日(金)まで渋谷アップリンクで開催中の「つながり映画祭」に行ってきた。“つながること”の大切さを知るというテーマの映画祭で、レアな作品が観られることが魅力だ。
土曜日のテーマは、<私とメンタルヘルス>ということで、映画「ぐるりのこと」を観た後、トークショーをみた。
◆ぐるりのこと。(橋口亮輔監督、2008年、120分、日本)◆
あることがきっかけでうつ病を患った妻が、夫に支えられながらゆっくりと回復していく姿を描いた映画。夫を演じたリリー・フランキーが自然体ながらいい味出している。また、夫の職業を「法廷画家」に設定したことで、10年間の時代の移り変わりを上手に表現していた。何といっても妻役の木村多江の演技が秀逸。作品としては長すぎる気もするが、そんな点が気にならなくなるくらい彼女の演技で感動して、号泣しそうになるのをぐぐっと抑えた。いやぁ、人前で泣くのが苦手な私にとって、感動ものの映画を人と観るのって、ある種の拷問に近い…。
ところでこの映画、バリアフリー版というものであった。聴覚障がいの方のためのフル字幕に加え、活動弁士の佐々木亜希子さんが、視覚障がいのために映像の解説を加えたものだ。
活動弁士 - The Art of Akiko Sasaki
視覚障がいの方が映画を楽しむためには、シティライツという団体がやっている、歌舞伎にイヤホンガイドみたいに、FM送信機を使ってみえない人にだけ音声解説をするスタイルと、佐々木亜希子さんたちが実施されている、活弁スタイルでみえる人もみえない人も活弁を聴いて映画を楽しむスタイル、二つの方法しか知らない。
シティライツのホームページへようこそ!
実は、佐々木さん視覚障がいの方に向けた解説付き映画を観たのはこれで二回目なのだが、どうも音声での情報が盛りだくさん過ぎてしまい、観ていて疲れてしまったのが現状だ。たとえば、風が吹いている場面は、音声解説を入れず音だけでわかってもらえるのでは…と思ったり、俳優の顔を「寂しそうに戸惑いをみせる」と解説が入った際、実際にその俳優の顔をみえている私の感覚までが、その音声解説に縛られてしまうのは、少し辛い。あと、友人の視覚障がいを持った子の感覚の鋭さ(些細な物事で状況判断をする場面)をよくみていることもあり、もっと映画本来の音声を尊重しても、視覚障がいの子にはわかるのではないか、と思ったりするのだ。
前に、「シャンプーとリンスの横にあるギザギザがみえる・みえないにかかわらず役立っている。活弁士付きの映画でもそういう世界を目指したいという話を聴いた気がするが、「視力があろうがなかろうが、同じ場面を共有したい」という気持ちはわかる。佐々木さんのお声はとても魅力的なのだが、だからこそ、障がい有無など関係なく、みんなで無理せず楽しめる形でのバリアフリー活弁スタイルを追及してほしいなぁと願っている。
◆<対談>とびらの向こうに>◆
中村ユキ(漫画家)×藤井克徳(きょうされん常務理事)
統合失調症のお母様との暮らしをマンガで綴った「わが家の母はビョーキです」の作者の方によるトークショー。
asahi.com(朝日新聞社):わが家の母はビョーキです(中村ユキ) - 漫画偏愛主義 - 映画・音楽・芸能
もともとは「病めるときも」というタイトルで出す予定だったのが、編集サイドの事前マーケティングの結果、統合失調症と縁がない人にも読んでもらうために、現在のタイトルになったとか。ただ、作品化するか否か大変悩んで、統合失調症の家族会などにも相談するなどして時間をかけたそう。
そんなご苦労もあってか、お母様と理解あるパートナーの方への愛あふれる作品だと思う。「この作品では、母の病気の部分のみ切り取って書いてしまった。今度は、母の普通の部分も作品にしたい」という言葉が印象的だった。
- 作者: 中村ユキ
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2008/11/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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