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久々に素晴らしいと思える映画に出会った。
ジャーナリストのマット。ある新聞社で働いているようだが、やりたい仕事、書きたいネタが追えていない状況。そしてマットの妻のニコルは、舞台女優。2人の娘と4人で暮らしている。しかし、若くして末期癌の宣告を受けてから、家族の暮らしに変化が訪れた...家族の負担を一気に引き受け、疲弊していくマットに寄り添ったのは、夫婦の親友であるデインだった。デインは夫妻の家に泊まり込んで、闘病生活を支えるのだった。
こうやって普通にあらすじを書くと、普通の闘病映画で御涙頂戴もののようにみえるが、この映画はそうではないと思ったのは以下の理由から。
1) 夫婦の生活が決して順風満帆でもないところが描かれている
夫婦が長く暮らしていると、色々な出来事がある。片方が仕事に没頭し過ぎて家庭を顧みないとか、パートナーのどちらかに婚外恋愛の兆しが訪れてそれが何かの拍子に表面化したり、あるいは子供があからさまな反抗期で会話の糸口を掴めなくなったり。
今までみたことがる闘病ものの作品は、夫婦やカップルの強い絆があることが前提で、二人の諍いは治療方針等に関することだったりするものが通常だったが、この映画の場合は夫婦の長い歴史の中での荒波も表現されていたところに魅せられた。
2) 話の肝で実は主役でもある、夫妻の友人デインがいいスパイス
デインは、この夫妻にとってかけがえのない役割を果たすのだが、とくに定職にもつくことがなく、決して人生の成功者という感じでもない。アウトドアグッズ屋で仕事をしながら、スタンダップコメディアンを目指したが、その道もひらけているようにみえず、また、ガールフレンドとの仲も長続きはしない。一見、細かいこともあまり気にする気配を見せない雰囲気のデインが実は一番傷つきやすく、かつて死まで考えていたようなところが映画の中でも描かれている。自分の私生活を投げ打ってまで人を助けるような優しい人は、人生の立ち振る舞いは意外に不器用なものだなと思った。その彼をいい距離感で支えてきたのが、マットとニコルの夫婦なんだな。マットと長女の
3) ターミナルケアの過酷さが表現されている
ニコルは2年ほどの闘病生活を追っていた。元気なうち...それこそ、「死ぬまでにやりたいことリストを作ってやる!」みたいな時期が一番映画になりやすいだろう。この映画にも多少そういうシーンもあるが、本当の本当の最後の状態も描かれている。非常に不機嫌で人に当たり散らしている時、空間を見つめてハイになっている時、病気の影響で子供まで被害を被るシーンも。最後、ターミナルケアの専門家を迎え入れるまでの家族の状況はさぞかし厳しいものだっただろうと思う。病人はただ弱々しく寝ている存在として描かれているわけではないところが、この映画のいいところだったと思う。
映画は「子供たちへの告知」から始まるが、その後は時系列がかなり入り組んで描かれている。それでも私の場合はちゃんと物語についていくことができた。こちらが、「Esquire」に掲載されたMatthew Teague(マット)の文章。
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妻の話だけど主軸を友にしたところが良い。