ジャズ愛を感じるアツい映画「BLUE GIANT」こそ劇場で観るべし

www.youtube.com
ジャズに魅せられた仙台の高校生、宮本大が、東京に出てきて日本一のサックスプレイヤーを目指す物語。原作は映画で、もう少し丁寧にジャズの出会いや上京決断までの部分も描かれているようだが、映画版では、大が東京に出てピアニストの沢辺雪祈と出会い、同級生の玉田をドラムに誘って一緒に成長していく姿が描かれていた。大の語尾に「べ」がつく話し方は、「ジャズやるべ」がキャッチフレーズだった映画「スイングガールズ」を思い出したが、あちらがビッグバンドを取り巻く環境だったとしたら、「Blue Giant」は完全にハードバップごりごり、という感じだ。若いうちに心から好きなものに出会って「何かを成し遂げたい」と願う10代の情熱が眩しくて、泣いてしまった。彼らの成長を支える「Take Two」のマスターやJASSの初ライブからずっと玉田の成長を見守るおじさま、雪祈に辛辣な言葉をかけながらチャンスを与えようとする五十嵐(だっけ)など、周りの大人たちも素敵だ。劇中に出てくる新宿や新橋、隅田川といった都内の名所はもちろん、「So Blue」はちゃんとブルーノート東京の内装で、Cottonsもコットンクラブがそのまま再現されていたのもとても良い。衝撃的なエピソードもあるけれども、宮本大が一人で世界にはばたいていくためのよい布石になっていた。

劇中歌を上原ひろみ氏が書き下ろして実際演奏していることだけでもすでにアツいなぁ。この2曲、とくに好きだった。
www.youtube.com

www.youtube.com

石若駿のドラムは、10年くらい前に誰かの来日公演に参加している姿をお茶の水Naruでみて才能に感動したことを思い出した。映画ではドラマーとサックスプレイヤーが高校の同級生という設定だが、石若氏とこの映画でサックスを担当している馬場智章氏は北海道出身の同じ年生まれであり「札幌ジュニアジャズスクール」というところでジャズを学んだとか。馬場氏はバークリー音楽院にも留学しているし、なんだかこの二人の経歴が映画と少し重なっているような気がしてしまう。もっとも、大学に入ってからドラムに出会って1年で有名ジャズクラブSo Blueへの出演を果たす玉田氏と異なり、石若氏は芸高出身なのでスタート地点がすでに違うか。
映画の中で1曲まるまる聴けることなんて、有名ジャズミュージシャンの伝記映画でもあまりないと思う。上原ひろみ作品は2003年の「Another Mind」以降きちんと聴いたことがなかったのだが、改めてきいてそのかっこよさを実感。ジャズはまだ死んでいないし、殺しちゃいけない。この漫画や映画をきっかけに、ジャズのかっこよさに気が付く人が続出しますように。
www.youtube.com

BLUE GIANT聖地巡礼をしたい方は、こちらのブログからどうぞ。
www.kurakurakurarin.com