Lipstick Under My Burkha。秘めた欲望を持つ女たちの物語

アランクリター・シュリーワースタウAlankrita Shrivastava監督、インド、2016年

女性監督が描く、インドの4人の女性たちの物語。4人に共通するのは、Bhopalという小さい地方都市に暮らしていること、そしてブルカをかぶっているものの、その中では秘めた欲望を持っていることだ。たとえば女子大生は、実家が非常に厳格な家に生まれ、かつブルカをつくるお店を営んでいるが、実は歌手(しかもアメリカのMiley Cyrusのような)になることを夢見ている。学校ではブルカを脱ぎ捨て、ジーンズで出歩いたりしている。美容師の女性は、結婚が決まっていながらもカメラマンの不倫相手がいる。主婦は、3人の子育てをしながら訪問販売の仕事をしているものの、夫は彼女にやけに威圧的だ。未亡人の女性は、(55歳とはいうが髪の毛の色のせいか年老いて見える)、"Lipstick Dreams"という官能小説をひそかに読み、電話越しに小説を朗読しながら若い男に恋をして、女を取り戻すかのように見える。

4人とも、欲望に忠実に生きようとたくらんで、ある段階で邪魔が入る。映画では「それでも自由を追い求める女たち」ということを描きたかったのだろうが、私には、彼らが受ける抑圧のレベルがあまりにも強くて愕然とした。主人公のインド女性たちはこんな自由も許されず、ひどいやり方で元の位置にいることを強いられてしまうのか…と。鑑賞後あまりすっきりとした気持ちにはなれず、複雑な気持ちにさせられる映画。