2018年、ベトナム、グエン・クアン・ズン監督、Tháng Năm Rực Rỡ ( Go-Go Sisters)
韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」(これ、観たのに自分の感想を見つけられなかった…)のベトナム版。日本版は観ていないのだが、サニーはすごくいい映画だったので、観てみようと思った。「高校時代に固い友情で結ばれていた7人(ベトナム版では6名)が、親の入院先でメンバーがリーダー格の女子のガンをきっかけに再集合する」というコンセプトは同じだったが、その国の事情に背景を合わせて作りこんだ結果、まったく異なる作品として楽しむことができた。
たとえば、キーとなる曲。韓国版ではBoney M. の"Sunny"がはやっており、それに合わせて仲間で踊ったりしていたから、仲良しグループの名前も「サニー」だったのだが、ベトナムでは「ワイルド・ホース」だったり。
時代背景が、韓国版は民主化運動やオリンピックが背景だったが、ベトナム版は南北統一の時代で、田舎から引っ越してきた設定のヒェウ・フォンが、北から移住した家族でお兄さんがデモに参加していたり、こちらも時代のゆらぎを感じる。そんななかで、クラスメイトのキャラ設定も似通っていはいるものの、敵グループの女の子がグループから追い出された理由がドラッグって…ちょっとびっくり。グループが解散するきっかけになる事件での、そのドラッグ女子のふるまいはちょっと狂気すら感じた。唯一違和感があったのは、デモが、不良チームの喧嘩ばりにけっこうポップに扱われていたところだが、まあそこは映画だしな。韓国版「サニー」を観た人も十分楽しめる映画であること請け合いだ。
ところで韓国、ベトナム…を観ると、気になるのは日本版だ。両国に比べると、どうしても政治的なインパクトが弱い日本で、どうしてこの映画を印象深いものにしているのだろう。まさかヒット曲の羅列とノスタルジーだけではないよね? いつか観なきゃ。