ドイツのマヌーシュ・ジャズギタリストKussi Weissがカバーする、Roy Hargroveのあの名曲に感動

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2021年7月に北ドイツの都市ヒルデスハイムHildesheimで行われた"Hildesheim Guitar Festival Django Reinhardt"。この街はドイツで最古かつ最大のジプシー/シンティのコミュニティがあることから、「シンティの文化的首都Cultural Capital of the Sinti」と呼ばれており、毎年、ドイツのシンティコミュニティに属するファミリーが多数出演する。
2021年の出演者のうち、シンティ系の人でいえば、まずはVano Bamberger Trio。今回出演した Vanoの息子が DonaniとTerrangi 、つまり、このグループは親子グループというわけだ。
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次にDanjetto Winterstein。ひとついえることは、"Winterstein とついたらシンティ系のミュージシャンであろう"ということだ。ドイツだとTiti Winterstein、フランスだとHono Wintersteinと、有名どころのシンティ/マヌーシュ系ミュージシャンでこのウィンテルステインという苗字を持つ人がいることから想像がつく。
ちなみにリズムギターのDanjetto Wintersteinのお父様が、Rigo Wintersteinという有名かつコミュニティにも影響力のあるシンティのギタリストだったとのことだが、2021年5月にお亡くなりになったらしい。Rigoは余生を過ごしたデュッセルドルフでジャンゴフェスの開催なども行っていたようだが、残念ながら、Danjettoの情報はなかなか探せなかった。このバンドでは、アコーディオンRicky AdlerリードギターにMario AdlerというAdler姓の人が二名参加しているが、ドイツの有名ギタリストWawau Adlerのことを考えると、きっと彼らのシンティ系のミュージシャンなんだろう。情報がまったく探せないので、あくまでも推測なのだが。ちなみにWawauもよく野球帽をかぶってライブをしているのだが、一族が好むファッションとかあるのだろうか。
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そして、こちらはお馴染み、クッシ・ワイス・トリオKussi Weiss Trio。Kussiは地元ヒルデスハイム出身なこともあり、毎年編成を変えて出演している。Kussiはオフィシャルウェブサイトを持っており、これによるとシンティの名門Weiss家の一員であることが記されている。あの有名なHansche(Häns'che) Weissは、Kussiの叔父にあたるらしい。この叔父やJimmy Rosenberg、あるいは従兄弟のSascha Weiss とよく共演していたそう。クッシのプロフィールを検索する過程で従兄弟と自分のトレイラーでギターを演奏する貴重な動画を発見した。
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こちらは、2021年のヒルデスハイムでの演奏風景だ。"Them There Eyes"の始まり方がちょっと真新しいところからスタンダードな雰囲気に変わって行くあたり、演奏の格が違うな...と思い、感心しながら動画を眺めていた。そして、6曲目に差し掛かった時、すごく嬉しくなってしまった。おお、これは紛れもなく、あのジャズ・トランペッター、Roy Hargroveロイ・ハーグローヴの名曲、"Strasbourg/St-Denis"ではないか! トランペットやサックスの演奏者がカバーするのは何度も目にしたが、マヌーシュ・ジャズのギタリストがカバーするのは初めてみた。たぶんメロディラインを耳コピして落とし込んだんだろうな。やっぱり目の付け所が違う。
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ちなみに、Kussi Weissのことを調べようと思い、まずはカタカナで検索するとこう出てきた。
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「屈指」? いやいや、あり得ないんですが...


そして、次にドイツのサイトを英語で自動翻訳すると、こう出てきた。
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"Kiss White"???  人名を勝手に改ざんして翻訳しないでほしい。

ずっと頼りにしていたフランスのジャンゴ情報サイト"Django Station"がとうとうまったく閲覧できなくなってしまい、ますます情報収集に苦労する今日この頃。