神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第375回定期演奏会 常任指揮者退任公演@神奈川県民大ホール

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今回は、2014年からかなフィルにて常任指揮者をしていた川瀬賢太郎氏の退任公演だった。友人によると、若手で勢いのある素晴らしい指揮者だという。そして、かなフィル自体もなかなか意欲的な活動をしているとか。川瀬氏は2022年には札幌交響楽団正指揮者の就任が決まっているそうだ。

今回のコンサートの最大の魅力は、あの小曽根真氏がピアノで参加し、ラフマニノフを演奏するということ。しかもピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18ということで、ソチ五輪での浅田真央氏の姿が思い浮かんでしまう曲だ。解説によれば、ラフマニノフは「交響曲第1番」が不評で自信を喪失し、5年も作曲ができない状況が続いたのだが、その状況を克服してできたのがこの曲だという。なんとなく小曽根さんの手にかかるとちょっとガーシュインぽいポップさが出てきた気がする。わかっている人によると、だいぶアレンジもきかせていたとか。さすが小曽根さんだなぁ。会場の沸かせ方をよくご存知、そして、前回初台でみた小曽根さん自ら指揮者をやって演奏した時とはオーケストラとの一体感が違っていた。やはり指揮者の方と小曽根さんが仲良しであることが影響しているのだろうか。

休憩を挟んでの演目は、マーラー交響曲第1番 ニ長調「巨人」。勢いのある部分しか記憶になかったのだけれども、第1楽章はこんなにやさしい雰囲気だったんだな。第2楽章はなにか舞踏会のワルツを思い起こされるような雰囲気、第3楽章もアメリカの童謡"Are you sleeping, are you sleeping? Brother John, Brother John? Morning bells are ringing..."というやつのメロディがずっと根底にあって癖になる。そして。一番印象的で力強い第4楽章。作曲の発想のもとは、パンフレットによるとジャン・パウルという人の長編小説「巨人」で、主人公がさまざまな人生経験を経て成長するという話だとか。まさに絵巻物みたいでおもしろかった。

このオーケストラは、コンマスがお二人おられて、かつ両方ともイケメンで尖った雰囲気なのだが、ソロ・コンサートマスターの崎谷直人氏はなんとかなフィルでは最後の活動だったにもかかわらず、コロナで出演できなかったとか。お気の毒に...川瀬氏も崎谷氏も、新天地でもますますのご活躍を。