ビレリ・ラグレーンも参加。独バイオリニスト、Sandro Royのニューアルバムでは、あの名曲がマヌーシュ・ジャズで!

1994年生まれのSinti系ヴァイオリニスト、ドイツのアウグスブルク出身のサンドロ・ロイSandro Roy。幅広いジャンルを若くして学んだというその才能を武器に、ファーストアルバム"Where I Come From"では、Marcel Löfflerと共演してマヌーシュ・ジャズを演奏するに止まらず、ジョビンの曲からツィゴイネルワイゼンのようなクラシック曲からスタンダードジャズナンバーまで、幅広い曲をカバーしていたのが印象に残っている。そんな彼も20代にしてあの有名なオランダのコンセルトヘボウ室内管弦楽団(Concertgebouw Chamber Orchestra Amsterdam)やバイエルン放送交響楽団(Bayer Philharmonic)、そしてその他もオーケストラとも次々と共演を果たしているそう。成長のスケールが違う。

さて、Sandroが今年2022年9月に出した3枚目のアルバムが "Discovery" だ。

今回も、ドイツのオルガン奏者ジャーメイン・ランツベルガーJermaine Landsberger、やはりドイツで活躍するアゼルバイジャン出身のピアニスト デヴィッド・ガザロフDavid Gazarov、マヌーシュ・ジャズ界隈でもお馴染み英国出身のギタリスト、マーティン・テイラーMartin Taylorそしてみんなが愛してやまないBireli Lagreneビレリ・ラグレーンをゲストに迎えた豪華アルバムとなっている。彼のYouTubeに、このアルバムのダイジェスト動画がアップされているのでぜひご覧いただきたい。自分のバンドであるUnity Bandと演奏する"Can't take my eyes off you"がマヌーシュ・ジャズ風で聞きやすい。あとはジャンゴ・ラインハルトの"Place de Brouckère"のガザロフとの演奏は、むしろマヌーシュ・ジャズ気配が息を潜めて、ヴァイオリンのインプロヴィゼーションも際立ってかっこよくなっている。「ひまわり」「サブリナ」といった映画音楽でヴァイオリンの手腕を魅せつつも、"Bayer Kultur Swing"できっちりオリジナルのマヌーシュ・ジャズまで収録してくるとは。
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ビレリ・ラグレーンとの共演「You are the sunshine of my life 」のマヌーシュ・ジャズアレンジがまたすごくいい。
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天才たちを招いてアルバムを収録するには、コアとなるミュージシャン自身に実力がないと成り立たないと思うが、こんな大物ばかり招いてもなお存在感を出せるサンドロがすごい。こちらもいつか生ライブを堪能してみたいミュージシャンの一人だ。