2015年頃に「Giant Steps」のアレンジを見てからずっと、Joey Alexanderのことを気にかけていた。2018年には偶然サンフランシスコにいた時にライブがあることを知り、観に行った会場で初めてご本人を見かけた記憶がある。
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あれから5年が経ち、その間Verveからメジャーデビュー果たしたことは知っていたが、その後の活動状況は知らなかった。今回、来日を知ったものの、予定が詰まっていたこともあり行くべきかどうか悩んでいたところを友人が誘ってくれたため、最終日の2nd setを観に行くことにした。今年行ったブルーノート東京の公演は3回とも満席だったが、この日も満席。演奏曲のうち3曲が、ニューアルバム「Origin」に収録されたオリジナル曲で、あとは「Eclipse」「Warna」から各1曲ずつ...演奏曲の5/6がオリジナル曲、というのがJoeyの成長の証のような気がした。
彼の演奏はパッションを感じる、というよりはしっとりとしたなかに色気と心地よさが溶け込んだ感じがする。アルバム収録メンバーではないベースのKris Funnクリス・ファン、そしてドラムのJohn Davisジョン・デイヴィスも、ソロの時以外は出すぎることもなく、ほどよい絡み方でジョーイとの相性もよかったと思う。スタンダード曲も一瞬原型がわからないくらいインプロビゼーションする印象のあるジョーイだが、大好きな曲「Bali」が、ほぼオリジナルのままのアレンジだったのは嬉しかったな。あの曲を聴くとすごく感情が昂って、無条件に涙が出てきてしまう。
ジョーイがピアノを弾く手元を一目みたいと左サイドのエリアを予約したのだが、今回はまさかの障害物が視界を遮ってきた。どうやら、フェンダーローズ、そしてメロトロン(Mellotron)というサンプル音声再生楽器(知らなかったのだが、サイドからみると楽器のロゴが目立っていたので調べてしまった)というものらしい。このせいでピアノの手元は見えなかったけれども、二回ほど鍵盤に向き合うジョーイの顔を正面から見えたから、よしとしよう。ジョーイがピアノだけでなく、エレクトリックサウンドをジョーイが操るようになっていることに驚いてしまった。
ジョーイの姿を、ふと、マヌーシュ・ジャズ界で子供の頃から今まで進化を遂げているアントワーヌ・ボワイエルAntoine Boyerと結びつけた。彼もストイックにギターを追求し、同世代のフラメンコギタリスト、サミュエリートSamuelitoと出会って新たな音楽を作り出している。今回のツアーもお母様が帯同しているようだが、いつか、彼も同世代の仲間とチーム組んで次なる音楽を生み出すのだろうか。楽しみ。
Joey Alexander(p), Kris Funn(b), John Davis (ds)
セットリスト
Summer Rising
Angel Eyes
Bali
Warna
You Don't Know What Love Is
Remembering
アンコール
Blackbird