五番目の女(ヘニング・マンケル著、柳沢由実子、訳)

五番目の女 上 (創元推理文庫)

五番目の女 上 (創元推理文庫)


五番目の女 下 (創元推理文庫)

五番目の女 下 (創元推理文庫)


クルト・ヴァランダーKurt Wallanderシリーズの第6作目。ストックホルムよりはデンマークに近いエリアにあるスウェーデンのスコーネ地方を舞台に、刑事クルト・ヴァランダーが大きな事件を解決していくという毎度のストーリー。小さなエリアで起こった、大したことのなさそうな殺人事件が、実は大きな事件につながっていくという毎度の話に夢中になる。クルトがけっこうネガティブで後ろ向きで、いろいろな悩み事を抱えているところも、人間くさくてまたよい。
今回もアルジェリアやコンゴの傭兵の話、そしてDVの問題など、社会がはらむ問題が行間に出てきて、夢中になってしまった。
今回の話には「自警団」というのが出てくるのだが、これの結成についてクルトが強硬に反対していたことが気になった。自警団を「火の用心的な自主防犯組織」を想像していたのだが、どうやら、人種差別的な、もっと過激な動き方をする団体を指すらしい。知らなかった。
ちなみに、このシリーズ、すでにBBCでドラマ化されているらしいのだが、映像化すると美しそうなので、興味がある。もっとも、この濃い内容が90分で納まるとは思えないのだが…。

DVDも売っているみたいだね。
海外ドラマ『刑事ヴァランダー』 | 角川海外TVシリーズ