2010年、ブラジル、ダシオ・マルタ監督
ブラジル音楽好きならだれでも耳にする作詞・作曲家ノエル・ホーザの生涯をインタビューや演奏で語り継ぐもの。昨年が生誕100周年だったことから作られた映画なのだろう。
ノエル・ホーザは1930年代に活躍した人だということもあるのか、生映像はほとんど残っておらず、このドキュメンタリーのためのライブ映像やノエル・ホーザを知る、あるいはカバーしている人へのインタビューを通じて彼を描き出そうとしていた。ちょっと映像の繋ぎは雑だったりもするので、映画好き向けというよりは、音楽好きのほうが楽しめるかもしれない。
Caetano Veloso, Zeca Pagodinho, Joao Bosco, Paulinho da Viola, Chico Buarque, Ze Renato, Ivan Lynsと、出演者は豪華だ。そして、ノエル・ホーザの歌がいかに日常を映し出しているか、ヴィラ・イザベル地区を愛していたのか、恋愛をよくしていたかがよくわかる。(ルックスがよくない、というのを散々言われていたのには、ちょっと苦笑したけれども。たしかに事故?でアゴがなく個性的だけれどもそこまでだろうか…)。
"Conversa de botequim"という大好きな曲があるのだが、これもタイトルどおり、カフェでの会話を生き生きととらえた歌詞だったのことを知った。
あとは、ウィルソン・バチスタとの音楽観(というより街の描写か)について歌越しに争ったという一連の曲があるというのは初めて知った。"Palpite Infeliz"もその時の返答曲のひとつ、らしいのだ。まるで、エミネムの8マイルの世界ではないか。
映画には、過去に撮影したノエル・ホーザを主題にした映画の映像も使われていた。これ、興味あるなぁ。