フランス、アルザス地方のヴィッセンブールWissembourgはほぼドイツ国境の町でストラスブールStrasbourgから60キロほどの距離にある町らしい。ここでは、2006年以来毎年のように芸術祭が行われている。なんでも、Relais Culturel de Wissembourgという劇場併設の文化センターが1981年に建設されたものの、たぶん閑古鳥だったのだろう、もう少しいろいろな人に来てもらえるように、ということでこのフェスRamp'Art Festifが企画されたそうだ。というわけで、このフェスティバルの入場料が無料。今年は、6月28-30日の三日間行われたということだが、トリを務めたのは、あの、マルセル・ロフラーMarcel Loeffler、マヌーシュ・ジャズの世界では有名な、そしてアルザス地方出身のご当地アコーディニスト、彼が率いるQuartetだ。そのライブを堪能できるとは、地元の人もシアワセだと思う。
この話だけでもすでに羨ましく、お腹いっぱいの話なのだが、もうひとつこのフェスに関する面白い話があった。今回、Les Arts Voyageursというプロジェクトが結成されたそうなのだ。フレンチシャンソンを演奏する6人組のミュージシャン、ラレオソルLaréosolのメンバーを中心に企画され、Wissembourg周辺に暮らす10-16歳の子供たちを集めて結成したユニットで、ロマ文化やスラム、マヌーシュ・ギターの演奏などを汲んだ形で、舞台を行ったとともに、CDを作ったらしい。
Ramp'Art Festif
参加した子供の数は総勢400人、そして歌手や作家、ミュージシャンなど13名のアーティストがこのプロジェクトのサポートをしたとか。地元テレビ局ではプロジェクトを映したドキュメンタリーまで放映されたらしいが、あいにくその映像は見つけられなかった。代わりに、プロジェクトの様子がわかる映像をいくつか見つけたので、ここのメモしておこう。
まずは、ある学校での練習風景。
この学校では、Mandino Reinhardtの"Merdjina"と"The Gypsy"もレパートリーに選んだようで、その2曲の指導をしているのは、Laréosolのギタリスト、ジュリアン・ジッペールJulien Zipperだろう。
そしてこちらは当日の演奏風景だ。
Mandino Reinhardtを叔父に持つギタリスト、フランコ・メルシュテインFrancko Mehrsteinも本プロジェクトに貢献したようだ。本舞台には出演していないようにみえるが、いずれ、子供たちにとってはさぞ良い経験になったに違いない。
子供とジャズ…というと、咄嗟に思い浮かべるのは、やはりフランスで行われたp'tits loups du jazz。
でもあのプロジェクトは、プロの演奏で子供たちが歌う、というものだったかしら。いずれ、フランスでは子供にとってジャズがより身近なものであることは間違いない。