東京するめクラブ 地球のはぐれ方(村上春樹、吉本由美、都筑響一)

東京するめクラブ 地球のはぐれ方 (文春文庫)

東京するめクラブ 地球のはぐれ方 (文春文庫)


村上春樹氏を隊長に、3名がいわゆる秘境?を行っては醒めた目線で物事をみたり、あるいは興奮したりといったような、ゆるいゆるい旅行記。
TITLEという雑誌、これも旅行のことを取り上げることが多かったので、よくみていたが、当時この連載のことは知らなかった。取り上げられた町は、名古屋、熱海、ハワイ、江ノ島、サハリン、そして清里。名古屋は、私も昔、B級グルメツアーと称してあんかけスパ、ひつまぶし、味噌煮込みうどん、どこか有名な店のかき氷、それにみそカツとコメダのあんこトーストとシロノワールを制覇する旅、というのをしたことがあるので、親近感を持って読み進めた。名古屋の都市としての立ち位置とか、独特な進化の度合い、なんでこういうふうに町が発展したのか、といった分析は絶妙だった。
熱海。ここも、よく行ったことがある場所だが、「風雲文庫」のことは知らなかった。これ、秘宝館よりディープでしょ。EU圏の方などお連れしたら嫌悪されそうな…。でも怖いものみたさで行ってみたいところ。
ゆるいハワイは、テレビ東京の「モヤモヤさまぁ~ず2」でもよく取材されていたし、自分でも行ったことがあったので、わかるわかる、といった感じ。江の島は、自分も日帰り旅行したことあるからなぁ、納得の雰囲気。取り上げられている都市で一番残念だったのは、きっと清里。ホント、生みの親のポール・ラッシュさんも、仕掛け時計のネタになったところで残念がっているに違いない。観光開発の可能性がいくらでもあるからこそ、残念な感じはした、本を読む限りでは。
一方で、サハリンには一度行ってみたい。稚内を旅した時から行ってみたいと思っていたのだ。しかもフェリーでいってみたい。ただし、夏場ね。一度企画してみようかな。
本のあとがきが秀逸だ。「幸せの敷居を低くするのが、人生をハッピーに生きるコツなのかも」ですって。どんなにつまらないものでも、面白がるよう自ら能動的に動くことの大切さを改めて噛み締めつつ。