村上春樹さんがアイスランドやギリシャやボストンやニューヨークやルアンプラバンなどなど、いろんな場所に住んだり、旅したりする様子がゆるく書かれている。
フィンランドでは「カフェ・モスクワ」という、カウリスマキ監督が経営しているカフェに行ってみたり、出版社の人とごはんにいって出版不況を嘆いたり。ニューヨークではヴィレッジヴァンガードやSmokeといった老舗ジャズクラブをはしごする旅をしたり、メイン州のポートランドとオレゴン州のポートランド、二つのポートランドでグルメを楽しんだり、ギリシャにいって昔暮らしていた家を訪ねるも、本当にその家が昔住んでいたところかどうか、イマイチ確証のないまま記念撮影してきたり、本当に緩い。でも旅ってそんなもんだよね。
この本が気になっていた理由は、タイトルに「ラオス」が入っていた点であった。村上春樹のラオスは、ハノイ経由で行ったルアンプラバンのことだった。なんでもハノイでベトナムの青年に表題の台詞を言われた、ということであった。アマンタカに宿泊し、なにやら不思議な音楽をきいたり、托鉢に参加したり、美味しい蒸し魚の現物をみてちょっとギョっとしてみたり。
結局、表題にまでなっているのに、結論としてはラオスに何かがあるっていうわけではない。でも、それなりに魅力的な空気がありました、と解釈していいのかしら。
旅で目的のものに出会えたり出会い損ねたり。でもそのゆるさが本当の旅なんだよね、きっと。