心は孤独な数学者(藤原正彦)

心は孤独な数学者 (新潮文庫)

心は孤独な数学者 (新潮文庫)

ご自身も数学者である藤原正彦の、ニュ-トン(英国)、ハミルトン(アイルランド)、ラマヌジャン(インド)という3名の有名な数学者の足跡をたどったエッセイを読んだ。やっぱり印象的なのはラマヌジャンRamanujanだ。
南インド出身、カースト制度の一番上である「バラモン」の出だが貧しく、でも独学で数学を学び、素晴らしい公式をたくさん編み出した数学者だ。その天才っぷりを、藤原氏は「我々の100倍も頭が良い」というレベルではないほどの超天才だと表現する。
安月給の役人をしながらもんもんと過ごすも、英国の数学者ハーディにその才能を認められ、多くの人のサポートを得ながらも戒律を破ってまでケンブリッジ大学にわたるも、健康を害すなどして33歳の若さでこの世を去る。この本は、数学的なことはほぼ語らずに、この3名の反省とすごさを表現している。ただし、ラマヌジャンの公式というのが美しいものだ、という記述をみると、その美しさがわかる数学者がうらやましくもある。
そういえば、ソフトウェアのプログラマーが、「●●さんのコードは美しいんだよね」ということを言っていたのを聞いたことがある。私にとってコードはコード、ただの数字や記号の羅列でしかなく、美しさはよくわからなかった。そういうものの美しさがわかる世界って、なんかいいなぁ。
藤原正彦氏、あちらこちらでラマヌジャンのことを書いている。
朝日新聞グローブ (GLOBE)|Memo04 「ゼロ」を生んだインドの数学脳。背景に貧しさ、そして連想力
本書のあとがきで知ったが、グッド・ウィル・ハンティングはラマヌジャンの生涯をモチーフにした映画だとか。舞台は米国なのに…。観てみなきゃ。